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尾崎翠 (ちくま日本文学全集)
 
 

尾崎翠 (ちくま日本文学全集) [文庫]

尾崎 翠
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登録情報

  • 文庫: 477ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1991/11)
  • ISBN-10: 4480102205
  • ISBN-13: 978-4480102201
  • 発売日: 1991/11
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 369,439位 (本のベストセラーを見る)
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追憶の溜息 2004/9/13
By zera
形式:文庫
好きな作家を問われたらとっさに思い浮かぶ作家のひとりになった著作集。中でも、本書に収録されている「花束」の中で語られる“追憶の溜息”は読んだ当時の私をとても元気付けた。あの頃は良かったな、と思い出して吐く溜息は決して後ろ向きではない。前に進むための一服の清涼剤だという。日々の中で感じるちょっとした感情をきちんと言葉にしている。
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形式:文庫
 裏日本の山村の野良仕事には、弁当を忘れても雨具が欠かせない。晴れ間を縫ってたちまち驟雨が落ちてくるからだ。そんな山陰の陰鬱な風土に逆らうように、一輪の清新な花が咲いていた。それは泥田に咲いたポップでシュールなダダの花。新吉にも、中也にも、治にも、賢治にもちょっぴり似てはいても、それは全然種属を異にする、そしてついに誰にも継承されることなく絶滅した貴種の新しさであった。

そしてこの奇跡の新しさが誕生するためには、霧深い裏日本の山村の憂鬱な曇天と冬なお温暖な太平洋ベルト地帯の晴朗の光の両方を必要とした。陰と光、田舎と都会、女と男、日本と西欧、畳とガラス、現実と詩、動物と植物たちは、試験管の内部でいくら攪拌されようともついに融合されないまま、解剖台上のミシンと蝙蝠傘の思いがけない出会いのように邂逅し、予告もなしに訣別してしまう。

 作者の脳内には、異様な磁力を有する自己物語化の天賦の才が独楽のように高速回転していて、そこから病院と薬物や兄と妹や分身と分心やこおろぎ嬢と詩人うぃりあむ・しゃあぶとチエホフとチャプリンなどが、まるで朔太郎の手品のようにガラガラポンと飛び出してくるのである。

 このような創作手法は、大正9年の「無風帯」や彼女の最後の作品とされる「神々に捧ぐる詩」では凡庸で陳腐な作物を生み、彼女の代表作とされる「第七官界彷徨」では複雑怪奇な芳臭と輝かしい才気を全方位に亘って放散している。しかし所詮これらは著者自身にも自由に出来ない哀しい精神常態から自動産出されているので、世間や文壇がその芸術的価値の上下をうんぬんするのは勝手だが、著者自身には全く関わりのないことだった。

 そしていくら暗中模索しても、この「永遠の聖少女」には、それ以上の、あるいはそれ以外の表現回路を切り開くことができなかった。それが、彼女が三九歳の若さで擱筆してから三五年の歳月を、さながら昼間に点滅する蛍のように、明るく、はかなく生きながらえた最大の理由ではなかったのか、と平成のこおろぎ男は春宵独りさみしく呟いてみたりするのだった。

雑巾を豊岡の街で売り歩く五十一歳の聖少女よ 蝶人
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17 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
懶い日曜日 2002/5/23
形式:文庫
今はなき、”乙女”が隠れて読んでいそうな作品の数々。私も「アップルパイの午後」を読んでいるとまるで自分が乙女になってしまったような気持ちになります...。「第七官界彷徨」も収録されていて、これは時代的なものも有るであろう恋愛に不器用(それだけでなく、みんな何かに不器用にみえる)な人たちのおかしみあふれる日常を描いている。大きな山場やオチのようなものはなく、淡々としている。私はこの淡々としている感じが好きで、そういった部分だけで言えば、太宰治の「富岳百景」と通ずるものが有る気がする。
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