落ち着いた面接官の本音が読める『面接官の本音』という人気シリーズを書いていた著者の新書。
前半は就職活動の問題点が列挙されている。
自己分析のしすぎであること、大学で勉強をしなくなったこと、など。
後半は著者の改善案が展開される。
学生は自己分析と共に自分には何ができるのか、何がしたいのか、何をしなくてはならないのかの3つも整理しておくこと、
企業は大学の成績を重視して採用をするべきであること、など。
たしかに大学は1−2年は遊んで3年の終わりから就職活動が始まって
4年で就職活動が終わって卒論はテキトーに書いて卒業、というパターンが多い。
自己分析のしすぎであること、大学で勉強をしなくなった。
社会人になってから大学は格安プライスで色々なことが勉強できる場であったと振り返ることも多い。
大学生には大学でしかできない勉強をさせる意味でも
就職活動で大学の成績を重視する事は社会全体にとって意味があることだと思う。
今の就職活動は頭の体操みたいな筆記試験とTOEICと面接の3段構成で大学の成績は一切考慮されない。
ここは大きな問題だと思う。
著者の考えに同意。
著者の『面接官の本音』と同様の落ち着いたトーン(自論をおしつけてこない)の文体と
ご本人の第一線での経験ベースの生々しい話が私は大好きなので
この本も一気に読めてしまいました。
読みやすいが為に逆に読んでいてすぐにおかしいと思うところがすごく気になる。
例えば企業は大学の成績を重視して採用をするべきであると主張されているが、
ノーベル賞を受賞したダーウィンやアインシュタインや小柴昌俊のように学生時代の成績が振るわなかった人も
大成するケースはけっこうあるので
研究職においては大学の成績だけで採用するかしないかが決まるように偏るのは良くないかもしれないと思った。
また、会社で営業や経理などの職で大成している人で大学時代の成績が振るわなかった人も
けっこういるのではないだろうかと疑問を持った(確たる証拠などないのだけれど)。
最後に、本田宗一郎、松下幸之助、稲盛和夫など有名経営者の
学生時代の成績はどうだったのだろう…ここも気になってきた。
もし学生時代の成績と関係ないのであれば経営も大学の成績だけでは決まらないので
経営者を選ぶときに大学の成績を参照することは意味がないことになる。
大学の成績が良かった人、良くなかった人、それぞれから大成した人・しない人を
営業・経理・法務・経営・研究・運輸・総務などの分野でピックアップしてデータを取ってみて
持論の正しさ(採用では大学の成績を重視すべき)を証拠で立証してくれると
もっとこの本には厚みが出たのではないかと思った。
全体を振り返ると、
学生時代のすごし方と出世の因果関係ついていろんなことを考えさせてくれたので新書に感謝しています。
良い本というのは持論をおしつけてこないで反論も自由に色々と考えさせる触媒のような本だと思う。
そういう意味ではこの本はすごく良い本です。