本書に価値があるとするならば、企業側のニーズにたった視点で、現今の雇用問題におけるミスマッチを的確に分析されている点につきると思う。
しかし、それはあくまでも現状分析にとどまり、問題の本質や有効な処方箋を提出しているとはとても思えない。その意味では、日本型雇用システムの構造分析批判を展開した城繁幸氏の「若者はなぜ3年で辞めるか」の方が断然有益な情報を読者に提供してくれるだろう。
また個人的に本書においていくつか気になる点もあった。ただ、そのことについては私自身の主観的な判断である以上、詳述はなるべくさけるが、結局、この手の批判(問題提起)は鮮度が重要であり、高度情報化社会の日本においては、瞬く間に広く人口に膾炙され、来春あたりには「新しいマニュアルのひとつ」として流通していることだろう。本書も過去に出版された数多のHowTo本や自己啓発本と同じように、消費され、忘却されていく運命を辿るのではないだろうか。もしそうであるならば、皮肉にも歴史はその運命の顛末を、日夜我々に容易に教えてくれている。つまり、閉塞した日本社会の現状、を単に眺めればいいわけだ。
若干、手厳しいことを言ったが、就職ジャーナリスト(?)として活動する著者のその姿勢は、疑うべくもなく真摯であり、また公平でもある。そして、イマドキの学生たちに送る著者のご教説も「ごもっとも」であり、十分に配慮されているように思える。ただ、それがすでに失効されているところに、イマドキの学生たちの生き難さと硬直した産業社会の病理が反映されていると思うのだが、残念ながら著者の問題意識はそこまでは広く設定されていない。
次作にはこの辺りまでも包括した、ジャーナリストとして活躍する著者ならではのものを期待したいと思う。