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就活エリートの迷走 (ちくま新書)
 
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就活エリートの迷走 (ちくま新書) [新書]

豊田 義博
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

超優良企業の内定をゲットした「就活エリート」。彼らが入社後に、ことごとく戦力外の烙印を押されている……。採用現場の表と裏を分析する驚愕のレポート。

内容(「BOOK」データベースより)

エントリーシートを綿密に作りこむ。面接対策をぬかりなく講じる。まるで受験勉強に勤しむような努力をして、超優良企業へと入社していく「就活エリート」。新卒者の勝ち組たる彼らが、いま、多くの職場で、戦力外の烙印を押されている。「スター願望」ともいうべき偏狭なキャリア意識に自縄自縛となり、スタートラインでつまずいているからだ。採用試験では高い評価を得たはずの就活エリートが、なぜ、入社後に迷走するのか?リクルートで長年にわたって就職情報に携わり、採用現場の表と裏を熟知する著者が、就活のあり方と若者のメンタリティを分析する驚愕のレポート。

登録情報

  • 新書: 235ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/12/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4480065857
  • ISBN-13: 978-4480065858
  • 発売日: 2010/12/8
  • 商品の寸法: 17.6 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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51 人中、45人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By saku
本書ではまず「使えない社員=迷走する元就活エリート」という図式が示され、このような人たちがなぜ生まれたかについて書かれています。「エリート」という言葉を使っていますが、この「就活エリート」は、多くの普通の学生に、あるいは若手サラリーマンにも当てはまると思います。

本書は、学生が迷走する原因は「エントリーシート」と「自己分析」にあるとしています。明確化するための自己分析に迷走させられた人、結構いると思います。そしてこれらを就職・採用活動に導入したのはソニー、および就活本『絶対内定』であり、これらを端緒に就職活動がパターン化・マニュアル化していった、リクルートはこうした問題意識を持っていた、とのことです。

しかし、約10年前に就活をした私に「エントリーシート」「自己分析」を教えてくれたのは他ならぬリクルートです。誰が発明したかはさておき、人材ビジネスのリーディングカンパニーである同社が、企業に、学生に、これらをツールとして広めたのではなかったのか。自己分析ツールによって偏狭なキャリア意識が形成されうると考えているなら、自縄自縛などと表現してほしくなかった。本書は、就活をパッケージ化してしまったことに対するリクルートの中の人の言い訳のようにも感じられます。

やりたいことを明確にしないといけない、そのために短い就活期間で「自分を発見」し、スター願望級の志望の動機づけを持たないと採用されない、と思わされ、結果、ミスマッチ起こして採用側にもマイナスになるのも無理はない。「やりたいことを明確にして意気揚々と入って来た新入社員」の痛ましいことといったら(そこまで自己啓発セミナー臭のする人は稀だが)。

終章では「就活再生のシナリオ」が提示されます。いくつかありますが、「エントリーシートを廃止しよう」もあります。やっと出て来たか、こういうの。そうしたところで求人倍率が上がるわけではないけれど、テレビで内定をもらっていない学生が「(内定がないのは)自己分析が足りないから」と言っていたり言われていたりするのを見るにつけ、あまりに気の毒だ。
このレビューは参考になりましたか?
37 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
 「就活エリート」という病理現象の発生メカニズム分析それ自体は面白い。厳しい「就活戦線」を勝ち抜いて大企業に入社したはずの「就活エリート」という勝ち組が、入社3年もしないうちに使えないという烙印を押されて脱落していく病理現象。
 
 読んでいて思ったのだが、こういう本はいったい誰が読むのだろうか? いや、いったい誰に向けて書かれた本なのだろうか?

 本書で語られている日本企業とは、すべて日本の大企業の話である。この前提を知った上で、著者の言っていることを読まないと、大きく誤解しかねないだろう。
 日本の大企業には、強力な存在の人事部があって採用活動をほぼ全面的に仕切っている。これは圧倒的大多数を占める中堅中小企業の現実とはまったく異なるものであることに、まずは注意しておきたい。

 「就活エリート」層が、全体に占める比率がどれほどのものになるかは正確なところはわからないが、日本の総労働人口の約1/4程度しか大企業では働いていないという実態から考えれば、「就活エリート」は、さらにその一部ということになろう。

 その意味では、著者は大げさに騒ぎすぎているのではないかという気がしなくもない。これは著者自身が東大の出身であり、就活には失敗した結果、アルバイトを経てその当時中小企業であったリクルートに入社した経験があるとはいえ、いわゆる一流大学卒業生に無意識のうちに親近感を抱いているためだろう。「就活エリート」たちとは、要領よく日本の大企業に就職することに成功した「勝ち組」であり、有名大学出身者の一部にみられる「病理現象」のことに過ぎない。

 おそらくこの「就活エリート」問題に、真の意味で手を焼いているのは、日本の大企業の人事部ではなく、新卒者を押しつけられる現場サイドのマネージャーであろう。日本の大企業の現場マネージャーには採用権限がないからだ。日本の大企業では「長期的育成」という美名のもとに、こういった「就活エリート」が採用されるが、当事者たちにとっては Win-Win どころか Lose-Lose 状況だろう。まったくもって悪循環であり、採用する側とされる側のいずれにとっても不幸な話である。

 著者は、日本の大企業における強力な人事部の存在については、いっさい疑問はさし挟んでいない。著者による「就活エリート」という病理現象の発生メカニズムの分析は興味深く読めるのに、処方箋がややお粗末なのはそのためだ。自分の商売を否定するようなことは言えないということか、それとも問題とはまったく思っていないのか。
 日本の大企業の採用活動がはらむ真の問題には、最初から最後まで踏み込んでいないように私には思われた。

 本書はあくまでも「就活エリート」問題に特化したものであって、現在の「就活問題」全体にかかわる問題提起ではなく、処方箋でもない。その点を了解したうえで読めば、「自己分析」シンドロームともいうべき問題の根の深さに気がつかせてくれる好著である。その意味で日本の大企業人事への警鐘と受け取られるなら、意義もあるというものだ。

 現行制度を表面的に廃止したところで、真の問題解決にはならないだろう。採用する側とされる側のいたちごっこが繰り返されることになるからだ。採用活動と就職活動とはまことにもってやっかいなものである。問題の根はきわめて深い。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 革命人士 トップ500レビュアー
「ゲーム化し始めた就職活動」という冒頭の小見出しが効いている。大企業の人事部長すら「人柄を見切る自信がない」と言わしめる。今の大学生は、面接テクニックが余りに高度化しすぎ、人格すら切り替えて面接に対応しまっているという。「近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)」も指摘しているが、キャラ作りが余りにうまくなりすぎている。そして、キャリア観念が強くなり、自分のキャリアデザインと異なる配属に対する拒否反応を示すことが多い。面接もキャリアデザインも、大学も企業も「よい」としてきたことだ。学生は「こういうことがしたい」「やりたいことを実現したい」と訴えて入ったのに企業は「総合職」として採用しローテで部署を回していく。その結果、「失敗を恐れる」「批判ばかりする」「やりたくないことをやりたがらない」。「新人の8割は使えない」という企業まであるという。

著者は企業と学生のマッチングを両者とも本音ベースでやりましょうという。社会の半数を大卒が占めるのに、未だにその「幹部候補生」として採用するのを改め、ごく少数の幹部候補以外は「専門職」として採り、適宜入れ替えればよいというもの。大半がリーダーになれるわけもないのにやたらリーダーシップを問う面接もどうか、というのは確かにそうだ。また、「共に働ける人材か見極める」という観点から長期のインターンシップ、縁故採用も提言している。縁故と言っても親戚や政治家といった実力と関係ないコネではなく、大学や取引先など信頼できる筋から「出来る」と推薦された人材を採る、という真っ当な縁故だ。

「横並びの就活は止めましょう」的な主張は、これまでの就活改革系の新書と同様に感じたし、理想論じゃないかとも思うが、毎年これだけの新卒者が漂流するのを見ると、なんとかならないかなあと思うのも確かだ。
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