“前田は、一九七二年にシンナーが、毒物・劇物取締法に加えられたことにより、
シンナー遊びが虞犯少年ではなくなったために虞犯少年の数が激減したことを見落としている(鮎川潤『少年犯罪』平凡社新書。二三頁、参照)。
実は、これに限らず、そもそもこの書物は、犯罪統計の分析の初歩さえ踏まえていない低レベルのものである。
参考文献がひとつも掲載されていないこのような書物が、
学問書を装って東京大学出版会から刊行されたことに驚きを禁じえない。
荒木伸怡は、「統計学の名著をも多数刊行している東京大学出版会が、
その刊行書籍の品質を問われかねない本であると考える」と指摘しているが同感である。”
『安全神話崩壊のパラドックス』の参考文献リスト中(p.314)で以上のように酷評されていたので読んでみました。
加害による死亡者数(他殺)が増加していないことについて、「殺人だけを取り上げて治安が良くなっているというのは科学的でない」
というようなことを書いていたと思うが(『日本の治安は再生できるか』に書いてあったのかも知れない)、
他の犯罪に比べ暗数が少なく、検挙率も95%前後で推移している殺人については、深く分析して欲しかった。
西暦/殺人認知件数/他殺による死亡者数(人口10万人当りの死亡率)
2002/1,396件/730人(0.6)
2003/1,452件/705人(0.6)
2004/1,419件/655人(0.5)
2005/1,392件/600人(0.5)
2006/1,309件/580人(0.5)
2007/1,199件/516人(0.4)
2008/1,207件/546人(0.4)
法務省『犯罪白書』
厚生労働省『人口動態統計』
また、『厚生白書(昭和34年度版)』には、次のような一文があります。(一部省略)
「昭和三三年の他殺による死亡者は、一、九六七人に達している。
これを人口一〇万対比にしてみると二・一人となっており、この数値は戦前の昭和一〇年の〇・六人に対しかなり高くなっている。
新聞紙上その他で、凶悪犯の問題がしばしば伝えられているが、
この面からみる限り、いわゆる世相は、戦前に比して悪くなつているといえよう。わが国は、アメリカに次いで他殺が多くなつている。」
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz195901/b0015.html
ちなみに昭和33年(1955)のアメリカの他殺による死亡率は4.55で、2005年では6.1です。
最後に、「古き良き時代」当時、少年犯罪がどのように語られていたのか...。
『昭和35年版 犯罪白書―少年犯罪の特質と原因』をどうぞ。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/1/nfm/n_1_2_4_1_4_1.html
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/1/nfm/n_1_2_4_1_4_2.html