たとえば冒頭の「触発」は、ふざけ合っている最中にはずみで男友達の兄を古井戸に突き飛ばし転落死させてしまった少女の物語。子供ながらに一生懸命現実に向き合って、自分なりの決着をつけようとする、重い因果を背負いながらも前向きなエピソードとなっている。ところが同じキャラクターを用いた「錯綜」では、男友達の側に視点を移し、ちょっと甘酸っぱい初恋の香りを漂わせつつ彼のほんのちょっぴりの成長を描くといった具合。
このほかにも、行き場のない男女の刹那(せつな)的な青春模様を描いた「OPEN THE DOOR」、モダンホラー的な味付けの「美しい骨」、自動車を改造してばかりいる変わり者の男と少女の間を流れる時間をゆったりと描いた「自動車、天空に。」など、ストーリーの引き出しの多さには驚かされる。そして多様なストーリーを、実に鮮やかに料理している。まさに変幻自在である。
派手なアクションがあるわけでなし、大恋愛、大事件が起こるわけでもない。すこぶる抑制が利いた作風は地味にさえ映るかもしれない。しかしマンガを描く技量は抜群に高い。まずなんといっても、洗練された確かな描線に支えられた作画力、ときに大きなコマを大胆に使う印象的な構図取り。それから少ないセリフに多くの想いをさりげなく込める言葉選びのセンス。読み込むほどに、作者が1つ1つの描写に込めた意図が伝わってきて、味が出てくる1作だ。(芝田隆広)
登録情報
|
意外にもCGも使用されていて驚かされた。
第二話でのミリシャの言葉「君にいつか何か守るモノができたとき(中略)君は一発ぶっ放す覚悟を持たなきゃいけない」
第四話の「ま、こんなもんだよ」
大人が持ち続ける少年・少女的な部分にふれられた気になる。そんな作品だった。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|