今日も今日とて、店員の夏恵目当てに足繁く通う喫茶店『不眠症』で、同じ高校に通う遊び仲間のバカ3人組(主人公・柳原心太(通称テングサ)、鈴木地球(通称あっちゃん)佐藤流星愛(通称サトル))がバカ話に興じていた。そこにテングサを訪ねて、怪しげな女性がやってくる。「人を殺してほしい」と…。
邪神をその身に宿す少年テングサを巡る奇々怪々な事件が、ここに幕を開ける。1巻完結(?)。
邪神「ジゴ・マゴ」を憑依させている邪神法人「ジゴ・マゴ」の実質的な代表者にして高校生…というのが主人公・テングサの立ち位置です。
全体のトーンは、「三人組のバカ話」に象徴されるコメディタッチですが、コメディと邪神の部分を抜き取ってしまうと、残るは結構グロい話です。
とにかくテングサの身に右から左から大小さまざまな事件が飛んでくるのですが、これがストーリー全体の「縦糸」、三人組のバカ話や仮想人格のネチカ姐さんたちとのやりとりなどコメディ部分、テングサのおばあちゃんの話、テングサの愛人を自認すピカビアとのプチラブ話などが「横糸」となり、最後は政府まで絡むなどラノベ的ご都合主義が混じりつつ話がビッグになって1つに収束し、ラストのどんでん返しが待っています。
タイトルからは想像できない、いじめとか殺人とか逆恨み、仮想人格同士の戦いなど、何となくホラーというかグロさというか何となく精神的にチクチクすような内容がたくさんあるのですが、それに反して読後感は爽やかなものでした。その理由として考えられるのは2点。
その1つは、主人公たち「テングサとその愉快な仲間達」が、事件自体はダークな中で、何だかんだ言って明るくお人好しな人たちであること。
もう1つは、カレーの辛さをマイルドにするのに蜂蜜や牛乳などが使われるように、所々に散りばめられている「バカ話」がグロさをマイルドにする役割をしているのではないかと考えています。
とにかく普通のラノベではないのだけれど、しかしヒーロー・ヒロインであるはずの少年達は妙に等身大…みたいなラノベであることは確かです。