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少年キム (ちくま文庫)
 
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少年キム (ちくま文庫) [文庫]

ラト゛ヤート゛・キフ゜リンク゛ , 斎藤 兆史
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

時は19世紀後半、大英帝国は黄金時代を享受していた。ところが英領インドを目指すロシアの南下に伴って「グレート・ゲーム」(闇戦争)が勃発し、激しい謀報活動が展開される。冒険心に富んだインド生まれのイギリス少年キムは、そのための格好の人材だった。資源争奪をめぐるイギリスとロシアの角逐を背景として、インドの豊かな自然を舞台に展開される冒険小説の傑作。

内容(「MARC」データベースより)

19世紀末インド。ある時はヒンドゥー小僧、ある時はエリートの英国少年、ある時は高徳のラマ僧の弟子。イギリスとロシアとの諜報合戦の中で、小さなスパイとして活躍。少年キムの冒険と成長を雄大なスケールで描き出す。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 532ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/3/12)
  • ISBN-10: 4480426914
  • ISBN-13: 978-4480426918
  • 発売日: 2010/3/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
1907年に史上最年少でノーベル文学賞に輝いたイギリス人作家キプリングの代表作。後に「帝国主義的」とのレッテルを貼られてしまうキプリングであるが、近年再評価が進んでいる。本作品は、自身インドで生まれ、人生のひと時をインドで過ごした作者自身の体験に基づき、19世紀の植民地インドの様子が見事に描かれている。宗主国である英国人の視点によるものとはいえ、作者のインドへの愛着が充分に感じられる。主人公の少年キムは、英国人孤児としてインドで育ち、英国と他国との諜報合戦の中、少年スパイとして大活躍する。少年の成長譚、スパイゲーム、主人公をとりまく様々な人々、数々の要素が絡み合う傑作。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 この小説の魅力のひとつは、詩情あふれる世界が描きこまれている、という点が挙げられる。私が詩情を感じた文章を紹介することで、この作品のレヴューに代えたい。

「高地へ赴く者は母のもとへ赴く」

 音を上げる若いキムを尻目に、年老いたラマは、高地をへめぐるごとに、「壮年時代の力を取りもどしていく」。芥川は、小説「河童」に年老いた姿で生まれ、年をふるごとに若返っていく河童を登場させた。伊藤一郎氏は、この河童には、母胎回帰のイメージが漂う、と指摘した。ところで小説「河童」の舞台も、高地だった。芥川は、キプリング「少年キム」を読んでいたのだろうか。……まさか。

ついに二人は世界のなかのもう一つの世界ともいうべきところに足を踏みいれた。(略)丸い草地と見えたものが、そこに行ってみると、はるかなる谷間に流れこむ巨大な大地であった。三日後、それは南に流れる台地の上の薄暗い窪みになってしまっていた。

 とらえどころのない世界、近づけば正体がわかると思って近づく。近づいていも、近づいても、正体をとらえられない。ものすごい世界だ。

 蛇を見て怯えるキムに向かって、ラマは言う。

これもわしらと同じく輪をめぐっておるのだ。上っておるのか、下っておるのかはわからんが、解脱にはほど遠い。こんな姿になろうとは、よほど業が深いのだろう。

 輪廻、魂、といった概念は私に宗教、よりも詩情を感じさせる。

キムは、小さな羊たちが屋根より高いところで草を食むのを観察したり、山脈と山脈のあいだに見える藍色の谷間を見渡しながら魂の自由飛行を楽しんでいた。

世界がわたしに道を用意してくれた。(略)それはわたしが正道を歩んでいたからだ。銅鑼の楽の音のごとく、妙法と響きあっておったからだ。わしはその定めから逸れてしまった。

あの邪教徒の拳がこの傷に当たったのだ。わしは魂ごと揺さぶられた。魂は闇につつまれ、それを乗せた船は、幻の水面に揺られたのだ。

 ラマの言葉に詩情があるのは、彼が僧院主であると同時に、六道輪廻図を描いた芸術家でもあるからかもしれない。

 マハブブ・アリや、ラーガン、などの魅力的な登場人物、本生譚(ジャータカ)の挿話、結末部でのラマの解脱、など、この作品の魅力はつきないが、その紹介は省略する。それは、読ん――でのお楽しみ。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
インド生まれの英国人作家ラドヤード・キプリングは、英国人で初めて、そして史上最年少でノーベル文学賞を受賞しました。この作品はそのキプリングの最高傑作と言われています。

この作品の当時、インドは大英帝国の植民地でしたが、英国がインドをその支配下に置くにあたっての懸念事項として、南下政策を取っていたロシアの存在がありました。ロシアを牽制し、その動きを探るために行われたのが、この物語のひとつの中心軸となる闇戦争(グレート・ゲーム)です。そこで、敵の情報を入手するための理想のスパイとして英国諜報部が白羽の矢を立てたのが、この物語の主人公であるキムでした。
キムは英国人でありながら孤児としてインドで育ち、一見したところ現地の子供と見分けがつきません。しかも身軽でとても頭の回転の速い少年です。キムはある日、チベットの高僧ラマと出会い、弟子としてその解脱の旅のお供をすることになりますが、その間に陰謀に巻き込まれ、白人として、そしてスパイとしての教育を受け、ラマの弟子としてもスパイとしても活躍することになります。

この物語は、闇戦争だけでなく、植民地であった19世紀のインドの様相、カーストによる身分制度と白人・現地人の差別化、そして輪廻を断ち切って解脱するために聖河を探すラマなど、日本人にはあまりなじみのない歴史的要素に満ちています。これらは恐らくキプリング自身が見た当時のインドを忠実に描写したものですが、とても生き生きとして目に見えるようです。

このような時代背景を如実に表すリアルな描写と、主人公キムを始めとした魅力的な登場人物の活躍で、長くはありますが大変読みごたえのある冒険物語です。日本人がなかなか知りえない要素が詰まっているからこそ楽しめる小説ではないかと思います。
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