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今昔物語、宇治拾遺物語を始めとした多数の古典を
引用、再構成し、さながら平安絵巻のような一本の
中編に仕上げたのは、さすがに文章の神様。
改行や句読点の少ない連綿とした文章だが、樗牛の
ような才気ばしった嫌味がない。言葉のすみずみに
まで細心の配慮が行き届いた、それでいて自由闊達
な最上級の日本語を堪能できる。
構成や学識もさすがだが、僕が谷崎にひかれるのは、
何と言っても、溜息が出るような文章の美しさである。
「美しい日本語とは何か?」と尋ねられたら、僕は
「それは少将滋幹の中にある」と答えるだろう。
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