有名ミステリー作家の伝記専門女流ライター、シシー・カルーソーの名探偵顔負けの活躍を描く好評シリーズの第2弾は少女探偵ナンシー・ドルーの生みの親キャロリン・キーン編です。本書を読んですぐに明かされるのが、女流作家キーンが架空の存在でシリーズは創作集団「ストラテマイヤー工房」の企画によって誕生し、複数のゴースト・ライターを起用して書かれたという史実です。今回は複雑で料理するのが難しそうな素材に思えますが、著者はナンシーの初版本コレクターやファン・クラブ会長を登場させ、表紙絵の初代モデルの実在女性グレース・ホートンと有名画家サルバドール・ダリが絡む、どこまでが真実でどこからが虚構か大いに迷わせる興味津々の物語を構築しています。
シシーはストラテマイヤー工房の伝記を現在執筆中の情報を得たナンシーのファン・クラブの女会長から初めての講演を依頼され、次いで初版本コレクターの男に紹介されるが、クラブの総会で講演を終えた夜自宅に立ち寄り彼が殺されているのを発見してしまう。シシーは事件の鍵が最初に彼と会った時に見せられた表紙絵モデルの肖像画にあると睨み、またもや迫り来る危険を恐れず積極的に謎を追う。
前作に登場したシシーの友人の中年女性二人ラエルとブリジットは本書でも健在で、少女探偵ナンシーの友人ベスとジョージが成長しておばさんになった体で、講演旅行に同行して彼女をにぎやかにサポートします。今回シシーは勘がピタリと冴え鋭い推理で犯人に迫りながら、猪突猛進でしくじって迎えた最悪のピンチを気合でねじ伏せる手並みはお見事の一語に尽きます。ロマンス面ではシシーが最初の夫に裏切られ離婚した事情が明かされ、今の恋人の刑事ピーターに慎重になる女心が切実で胸に迫りますが、エンディングの不器用な彼に漫才みたいな突っ込みを入れながらのラヴ・シーンにはまだまだ十分脈がありそうで今後に大きな希望を抱かせてくれます。