私がGOSICK、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないと読んだ後、桜庭先生の作品にはまるきっかけになった小説です。冒頭の、辻斬りのように、というフレーズにひかれ、するすると読み終えてしまいました。
一話の「辻斬りのように」は七竈のいんらんな母、優奈がある日突然男遊びに目覚めて七竈をみごもるまでの話です。題の通り、ほとんど出会い頭にばっさばっさとそういう行為に及んでいきます。優奈が自身が持つ自分のイメージを変えるべく、心身を投げ出している様子が激しく静かに描かれています。
そうして生まれた七竈と幼馴染の雪風を巡る大人達を中心に話が進んでいきます。最初は鉄道模型のように閉じた美しい世界、それがだんだんと変化して広がって、若い二人を押し流していきます。その中で母、優奈と七竈の関係も変わっていくのですが、この母を許す許さない近いようで遠い関係というのは母娘だけでなく、父息子でもあるのではないかと思います。読後、長い冬が終わり、まだ寒さの残る朝の空気を吸い込んだときのような少し哀しく清々しい気持ちになりました。桜庭先生の作品は一通り読みましたが、その中でも気に入っている小説です。