殺人現場の写真を収集している大学生・高須賀克志(「スカ」)と
模範生であることを自らに強いている天才女子高生・斎宮瞑を
主人公にした連作短篇ミステリ。
◆Crumbling Sky
スカと瞑の出会いの話。
スカが小学生時代に遭遇した怪事件を、瞑が解明することに
より、彼が特異な習癖を持つに至った理由が明かされます。
◆四番目の色が散る前に
いわゆる〈ミッシング・リンク〉もの。
作中でも瞑が、クリスティの
某作に言及するわけですが
それ自体、読者を誤導する仕掛けとなっているという趣向。
そこに思春期特有の自意識が絡められることによって
錯綜した真相が導き出される構成は実に見事です。
◆Fallen Angel Fallen
本作でも、思春期の自意識が重要なファクターとなっています。
サブトリックである〈人間消失〉も効果的。
◆あなたを見ている
ストーカーを刺してしまった少女の事件と、同時期に
別の場所で起きた通り魔事件との関連付けが巧妙。
真相は瞑にとって重いものですが、読者としては
別の意味で口をアングリとさせられてしまいます。
◆静かな密室
大トリック一閃、です。
用いられる仕掛けから考えて、この話をする
ために瞑というキャラが誕生したのでしょう。
全体的に、各篇どれもミステリとしての完成度は高いのですが、
主役二人の猟奇犯罪への執着というキャラ設定と、作品全体の
テーマがあまり連関しなかったのが残念。