「結平君、また間違えようね」
星は三つだが、つまらない、という事は決してない。
どちらかといえば面白かった部類。
いきなり赤ん坊の死体がバイクの中に突っ込まれたり、序盤から人がガンガン死ぬ展開は読ませる。
連続乳児誘拐事件の全容と、あまりに唐突すぎる登場と共に殺りまくるウサガワの正体がどう繋がるのかは普通に気になり、特に中だるむ事もなく最後まで興味が持続する。
が、貪るように夢中になって読み耽ったのかといえば、そうでもない。
結末に大きな爽快感やカタルシスがあるのかといえば、そうでもない。
事件のオチと登場人物の各々の動機が【トラウマ=主人公の過去】のみに集約されている点はミステリとしては今一つで、いかにも弱い。
オリジナルティーがありつつ重要そうに見えたコインランドリーの管理人という設定も、結局は死に設定。
だから本作はミステリとして楽しもうとするよりは、ノワールとして読むのが正解なんだろうけど(帯に「青春ノワール」とか書いてあるし)、それにしても、ミステリという枠から逸脱した先行例であり、本作にも影響を与えているとも思われる舞城王太郎や佐藤友哉と同等以上のインパクトはない。
舞城王太郎ほどクオリティは高くないし(当たり前だけど)、話がとにかく凄惨で過激で残酷なわりに、佐藤友哉ほどイカれていて逸脱している、という印象も受けない。「作品を盛り上げるために、頑張ってたくさん殺ってます!」感が、どうしても否めないのである。
ま、作中に瀰漫する狂気が、必ずしも暴力描写の多さに比例するとは限らないという事です。
十九歳のデビュー作としては十分の出来だとは思う。
十分なのだけど、でもあともう一歩突き抜けないと、舞城王太郎にも佐藤友哉にもなれないんじゃないかな、という気はする。