デビュー以来の朝井リョウさんのファンです。
廃校する高校、そこでの最後の卒業式の日を7人の女子高生の視点で描きます。それぞれの物語は独立しているので連作短編集ということになります。
すべて女子高生の一人称の語りです。「私」とか「あたし」とか。朝井リョウさんお得意のリアルな心理描写も健在です。
ただ、男性視点の話も入れてほしかったな、と思ったりします。「語り手は全員女子高生にする」と最初に決めていたのかもしれませんが、やはり女子高生だけだと「男は置いてきぼりかよ」と思ってしまいます。そこが唯一不満なところ。
特に気に入った短編は、ラストのふたつ。『ふたりの背景』と『夜明けの中心』です。前者は村上春樹の『ノルウェイの森』を、後者はよしもとばななの『キッチン』を思い出しました。
『ふたりの背景』は、いわゆるストレンジャー系、異邦人モノといった路線で、朝井リョウさんには珍しく淡々とした文体です。短編集としてはそこがアクセントになっています。このような「生きづらさ」というテーマは小説ではよくありますが、朝井リョウさんが書くとこうなるか、といった感じです。
『夜明けの中心』は、『もういちど生まれる』収録の『破りたかったもののすべて』もそうだったのですが、単なる青春モノから、普遍的な人間ドラマの域にまで達しています。自分は青春モノ以外もできるぞ、といっているのかもしれません。
朝井リョウさんはこの春から社会人。「学生のうちは学生のこと以外書かない」と言っていた彼が、今後どのような物語を書くのか。とても楽しみです。