装丁が良かったので手に取りました。
元は携帯小説として連載されていたもの、とのこと。
携帯小説はあまり読んだことがなかったので、
ちょっと期待も込めて読んでみました。
……読了まで30分。
率直にいいますとほとんど何も印象に残りませんでした。
活字に慣れた人ですと、途中で苦しくなるかと思います。
(以下、若干のネタバレアリです)
ある日突然、少女が見知らぬ男たちに拉致され、
その中のリーダー格の殺人鬼(少年)に愛情を抱いてしまいます。
この設定についての是非は置いておくとして、
少女が殺人鬼に愛情を抱くに至る経緯が残念ながら安易。
心理描写がブツブツと細切れ(悲しい→優しい言葉かけられた→好き)で人物設定が心許なく、
また、感情の揺らぎ、展開の意外性、プロットの丁寧さといった工夫も見られませんでした。
非現実的な展開に翻弄される少女に感情移入する、という向きもあるようですが、
少女の苦悩や煩悶が、どうにも自家中毒に思えてしまうのは、
少女以外の登場人物があまりにティピカルで、
少女の都合のいいようにしか動いていないように見えるからかもしれません。
犯罪者に恋をすると言えば「ストックホルム症候群」です。
著者も作品中でそのことに触れて、少女の愛情はそれとは違う、
真の愛情なのだ、というような運びとなっているのですが、
残念にもその深みが伝わってきませんでした。
最近は携帯のゲームで「ベツカレ」などのいわゆる妄想彼氏を愛でる流行がありますけど、
この小説に出てくる殺人鬼はまさにそのベツカレの最たるようなもののように感じました。