まず最初に。
正直、明るいストーリーではありません。
読後感ははっきり言って単純に「楽しい」ものではないはずです。それは私たちが「人間」であるからこそ、特にそう感じるのかもしれませんが…。
また、原作エピソードの時間や設定との整合性を重視する方には、納得できない点が多々あろうかと思います。
(おそらくこの世界では、アルファはココネにもマッキにも出会っていません。)
導入部はこんな感じです。
…主人公は、ハママツの町で作られたロボットの少年、オメガ。自分を作った一人の人間以外には誰にも会ったことのなかった彼はある日、東の国でコーヒーをふるまって旅人をもてなしているというロボット=アルファを探して旅に出ます。
そして長い旅の末に見つけたカフェアルファで、彼はアルファの記憶を追体験する…
この、今になって発表される、しかも決して安くはない小説版ヨコハマ買い出し紀行を買うなんて奇特な人は、まず100%原作コミックの大ファンだろうと思います。(もちろん私もそうです)
それだけに、原作連載時の「てろてろ」とした雰囲気での外伝的あるいはプロローグorエピローグ風のストーリーを期待して、アルファ達との再会にわくわくしながらページをめくり始めたファンは皆、序盤でいきなり奈落の底に叩き落とされるような気分を味わうことになるでしょう。
そこにあるのは再会どころか、これでもかというロボットと人間の、苦悩と別離と孤独の連続。連載時には胸温まらせたエピソードですら、それを「経験」して「過ぎ去ってしまった幸福な思い出」として覚えている自分にはほろ苦さの方が上回ってしまい、しばらく、ページをめくるのが辛かったことと言ったら。。
でも、これも「あり」だというのが、最後まで読み終えた今の私の感想です。
―見て、歩き、よろこぶ者―
著者はアルファ達ロボットが「存在する意味」をテーマとして捉え、原作のエピソードと登場人物を整理し直し、謎のまま明かされることのなかった設定に独自の解釈を与えるという手法で、「ヨコハマ」の世界を描き切るには短すぎると思えるページ数で見事にひとつのストーリーを紡ぎ出してくれました。
いわばそれは、もうひとつのリアルな可能性。
アナザーストーリーなどと一括りに書くと軽く感じられてしまいますが、こういう「ヨコハマ買い出し紀行」の世界もまた有り得たのかもしれません。
受け止め方は人それぞれでしょうが、ファンの皆様には、まずは読んで、そして考える価値あり!とご報告して、グダグダですが筆を置きたいと思います。
・・・あ、最後はいちおうハッピーエンドですよ?(個人的には続きが読みたいです。)
あと、なんだかんだでオメガ羨ましい!!(笑)