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大手ゼネコンへの飛躍を志向した中堅建設会社が、増注の一環として、開発不動産事業にのめり込んで経営悪化を招いたが、このA社の新規ホテル業の展開も、事業拡大への一つの新しいビジネス・モデルでもあった。歴史の悪戯(?)か、資産バブルの崩壊と資産デフレに翻弄されて、不動産開発投資に傾斜した多くのゼネコンが危機に瀕することとなった。
この小説は、このホテル事業の展開とトップのワンマン経営を銀行との絡みで描くだけで、その後のA社を暗示するところで終わっている。新しいビジネス・モデルを追うことによって活路を見出そうとした多くのゼネコンが、何故、破産や民事再生法適用申請に至らざるを得なかったのか、あの経済社会の大きな激動の中で呻吟したゼネコンの苦悩を描いてこそ経済小説ではなかったのかと思うのだが。
余談ながら、フィクションであろうとなかろうと、あのような巨大なホテル買収の取引が極秘裏に行われ、取締役決議も経ずに、一握りのトップだけの決断でなされたとするならば、法違反であり、今日喧しいコーポレート・ガバナンスに関して何をかイワンやであるこちらを付言しておきたい。
2ゼネコンについて書かれているか?
出向先の建設会社の海外との事業提携の交渉,メインバンクの座の争いなどが書かれており,それはそれで一応面白いです。
ですが,ゼネコンと言えば工事の受注過程における談合その他の交渉の過程を連想するのが普通でしょうが,そういうことは殆ど書かれていません。
自分は,そういった建設業界の様相を勉強する意味を込めてこの本を購入したのですが,ちょっとタイトルにだまされたかな,とすら思いました。
高杉氏の作品は始めてだったのですが,他の作品を読む際には内容を良く確認してから買おうかなと思います。
ちなみにタイトルは,「ザ・出向」とか「ザ・社長秘書」が適切かなと思います。
3評価
小説自体は割とテンポもよいのですが,タイトルとの不整合,内容が迫真性に欠ける(事業提携の交渉もおそらく著者が実際にそのようなビジネスの体験をしていないからか,どこか切り込みが甘い気がしますし,ビジネスの醍醐味を垣間見ることはできませんでした)ことから星二つとしました。
著者は金融をテーマにした作品を多く出しているようであるが、ゼネ!コンビジネスに関する限り、新聞・週刊誌の切り抜き記事から得られる以上の情報源は持っていないであろうことは明らかである。主人公を含む人物描写、会話、ストーリー展開、等々、小説としての技量も低級で、ゼネコンの問題より社内の人間関係の有象無象を描いた描写が多すぎる。 帯カバーには『日本経済の危うさを描く著者最新作!』と銘打たれているが、あえてジャンル分けするならば、銀行から出向した主人公の目を通した、皮相的かつ感傷的な『日記風3流サラリーマン小説』の域を出ていない。
一流の料理を期待して料亭の座敷に座ったが、コンビニで買い集めた付合せが次々と出されただけで、とうとう最後まで『料理』に値するものは何も出なかった、という正真正銘の駄作である。
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