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この作品は、昭和17-20年ころの太平洋戦争中に書かれた。当時は紙が不足していたため、限られたページ内で収まるように、作品は無駄を省いて書かれており、美しい文章のみから構成されている。
一時、この作品は男尊女卑ではないかと叩かれたことがあったようである。しかし、この作品は、夫が苦しんでいるときに、妻も一緒になって苦しみ、1つの苦難を乗り切っていくという意味で書かれたものであり、女性だけが不当な犠牲を払っているわけではない。
彼女たちは「女である」条件の中で精一杯それを通している。男性が「男である」条件から出られないのと同じように。
自分の生きかたを、改めて考えさせられる一冊。
作者の意図としては、意識して日本の女性たちに道を示すというようなものではなく、自分の好きな女性を描いたのだそうです。この表題から、女性の献身的な犠牲をすすめているような感じがうけとれるんですが、内容としては、全然そうではないと思います。 登場するのは、たいてい侍の妻か恋人で、その侍である男達の状況や払う犠牲のすごいこと。
私は中でも「糸車」が好きです。主人公、十九歳のお高は、老父と弟とつましい暮らしをしていますが、彼女は彼女なりに生活を楽しんでいます。糸繰り内職に精を出し、新鮮でよい魚が安く買えたと喜んだり。彼女は里子で、本当の親が意外にも出世したので、養育費を支払って、引き取りたいと言っています。実の両親や兄弟にかこまれ、個室を与えられ、素敵な着物がある、お姫様の暮らし。お高は、辞退して家に戻ってきます。老父は、父や弟のために幸せになる運を捨ててくれたといいます。が、お高自身には、そんな気持ちがなかったように思います。心の底から、老父と弟との暮らしが好きで、それが自分に合っていると判っていたんだろうなと。自分を知っていること、その決断力は美しいです。
妻がなくなり、家族や使用人の哀しみの深さから家計のやりくりの大変さを理解した「松の花」、一見うだつのあがらない夫を持ち、妹たちの暮らしぶりのよさに目移りしてしまう「風鈴」も、自分が何のために生きているのか、その意味を深く考えさせてくれ、主人公の女性達の心の強さに憧れます。
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