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小説家 (講談社文庫)
 
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小説家 (講談社文庫) [文庫]

勝目 梓
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

勝目梓氏、初の自伝的小説
エンタテイメント小説の巨匠、勝目梓氏による初の私小説。書くことへの、家族への想い。様々な想いが交錯しつつ、一人の人間の半生が描かれる。著者渾身の力作。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

昭和30年代半ば、波瀾に満ちた青年期を送った「彼」は九州から上京、作家を目指す。同人誌「文藝首都」に在籍し、名を成す手前にまで達するが、森敦と中上健次、二つの才能に打ちのめされる。そして苦悩の末、純文学作家からの転向を決断した。エンターテインメント小説の巨匠、最初で最後の自伝的小説。

登録情報

  • 文庫: 448ページ
  • 出版社: 講談社 (2009/10/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062764865
  • ISBN-13: 978-4062764865
  • 発売日: 2009/10/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
通俗読物作家として多忙になるまでの起伏の多い生涯を、
印象的な情景と内省を交えて、濃厚に描いた小説である。
福田和也は「闘う時評」でこの小説を2006年のベストであ
ると記していたが、その評価通りの傑作であった。

蛇足ながら二つ気になる点を記す。
講談社文庫版26頁に「彼は二十八歳のときに、生後二ヵ月の
自分の息子を失くしている」という記述がある。
この出来事はIIの「眺望」という章で詳述されているのだが、
その章では「生まれて十一日目の午後に、朴郎の呼吸が細くなった」
「わずかに十一日間しか生きなかった」「十一日間しか生きなかった
嬰児の生死」「生後十一日の仏」といった記述が見られる。
どちらの記述が正しいのだろうか。恐らく前者が誤植かと思われる。
二つ目は池上冬樹の解説中436頁の「再婚相手で後に作家となるT女」
という記述である。「再婚相手で後に作家となる」のはC女である。
ちなみにC女は高瀬千図であるという。
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 勝目梓の作品を手に取るのは、今から30年近くも前、徳間文庫創刊の頃に、官能バイオレンス小説を数冊読んで以来のことである。

 いやぁ、こんな人だったんだ。中上健次と森敦という偉才を横目にしながら、自らの才能の限界にもだえ苦しむ葛藤の日々。中上健次と森敦を文学者って言う人は数多くいても、勝目梓を文学者って言う人はいない。40過ぎて、自分は「文学者」にはなれないって見定めて、「小説家」になることを徹底的に目指した男の凄み、「小説家」ってものの魔力を感じる。今はエンターテインメント小説なんて当たり前だけど、川上宗薫にしても宇野鴻一郎にしても、純文学からの転向って今じゃ想像できないくらいの屈折があったんだろうな。それだけに、彼らが書くものってある種、娯楽に徹底したライティングマシンとしての凄み、プロとしての矜持が伝わってくるんだよね。

 「書くに価するだけの文学的な意味のあるテーマが、自分の中にはないのではないか」「彼は書こうとするものについて深く考えることをしなかった。考えることが苦手だった」。そこまで自らの才能を冷徹に見極め、卑下しながらも、「それでも彼は小説を書きたかった。小説家というものになりたいという思いだけは捨てかねていた」。この、どうしても譲れなかった“小説家になることへの切実な欲望”ってのが一体なんであるか、ってことだよね。いま、ブログとかで、一見、“表現”とか“有名性”とかの敷居って低いような気がするけど、これって、近代以降普遍的な人々の持つ欲望だよね。勝目梓の「書きたいものなど無いけど、小説家になりたい」って、実もふたもない凄絶なカムアウトにはとても色々考えさせられてしまう。この小説、“小説家に至るまで”に大半の紙面が費やされているんだけど、実際は“小説家になってからの”、月間千枚とかを平気でこなす才能、娯楽に徹底した仕事ぶりといった辺りが勝目梓の才能なんだよね。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
著者の半生を綴った私小説。
炭坑夫、機関誌編集、養鶏業、トラック運転手など転々と変える職業。
様々な女性に惹かれ、家庭を壊していく私生活。
その波乱にとんだ軌跡はもとより、主人公の折々の心境、苦悩が濃密に
描かれており、作品の中に引きずり込まれた。

特に、新鮮な驚きを受けたのは、純文学から娯楽小説へと転向する際の苦悩。
純文学作品とは、世間にぶつけたくなるようなモチーフが自己の内面に存在
してこそ出来上がるものであり、娯楽作品はそれとは対照的に、自己を徹底的に
排除してこそ完成するものだと知った。

純文学を諦め、娯楽小説に転向した著者であるが、この作品は「老醜の記」と
ともに、見事な純文学となっている。
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