本書は、6年前に出版された『
小説ルパン三世』の文庫本であり、大沢在昌『
新宿鮫』、新野剛志『
八月のマルクス』、光原百合『
十八の夏』、樋口明雄『
約束の地』、森詠『
オサムの朝』による5人の作家の競作〈小説推理04・9月号、05年1月号〉による『ルパン三世』の小説で各作家がルパンの特徴を活かしながら執筆したオリジナルストーリーとなっており、それぞれ読み応えがあって面白い。
・ 軍事政権が支配する小国に来訪したルパンと次元。その国で主催される早撃ち大会に出場することになった次元だが…――『拳銃稼業もラクじゃない』大沢在昌
・ 伝説の大泥棒が経営するカフェに一年に一度、世界の一流の泥棒の集いに訪れたルパンが突如消失する――『バンディット・カフェ』新野剛志
・ ルパンと浅はかならぬ因縁のある金庫師・錠太郎が再びルパンとの知恵比べに勝負する――『1−1=1』光原百合
・ 仲間の裏切りから思わぬ展開となり、大自然に放り出されたルパンと黒ずくめの男たちがダイヤの行方を追う――『深き森は死の香り』樋口明雄
・ 不二子を救出するために800年前の世界へタイムスリップしたルパンたち(銭形警部も)が見たものは…――『平泉黄金を探せ』森詠
どれもがそれなりに読み応えがあり、なかでも『1−1=1』の挿話で金庫職人の息子である丸金錠太郎(注:『
ルパン三世2nd』第19話「十年金庫は破れるか」)の登場には(その挿話を知っているものには)ニヤリとさせられた。ただ『平泉黄金を探せ』以外は物語の都合上、銭形の登場はほとんどなく、やはり5人(ルパン、次元、五右ェ門、不二子、銭形)揃ってこそ“ルパン”シリーズといえるのでその点は少し残念である(同じく不二子のSEXY描写が少ないのも残念だ)。
それでも読後感としては堪能できたので次回作として他の作家(できれば
東野圭吾や
宮部みゆき両氏)の“ルパン三世物語”も読んでみたい。