私は何年か前にスペインのスタジアムで某作家が、サッカー観戦する企画のテレビを見た。
ゴールが決まり他のお客は熱狂しまくっていて、同時に彼も席を立ち上がった。
けど、すぐタバコに火をつけて一服しはじめた。コートを着ていたからたぶん冬だったと思う。
番組を見ていたらしい保坂氏がその様子を「あんなんだから,作家としてダメに
なったんだ」と保板(HPの掲示板)で書いていた。
パチンコの大当たりが出てうれしいはずなのに興奮を鎮めようとして
無意識のうちにタバコを吸うように、大人は喜びや退屈の濃度を別の何かでまぎらわして
中和するテクニックを習慣的に身につける。
しかし保坂さんは明確に「そんな態度で小説は書けない、「子どもが地面を転げ回るような活力」
こそが必要なのだ」とこの本で伝える。
子どもは喜ぶときも退屈するときも地面を転げ回るのだ。不思議なことに。
澄まし顔の文学に興味がまったく湧かない人に向けて、この本を強く薦めたい。