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小説の誕生
 
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小説の誕生 [単行本]

保坂 和志
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「小説論」とは思考の本質において、評論ではなく「小説」なのだ。小説について、もっともっと、考えたい人のために。『小説の自由』につづく、待望の第二弾。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

小説にしか、できないことがある。小説について、行き着く先もわからないまま考えつづけるうち、「小説論」はどんどん「小説」へと変容していった。「小説論」とは思考の本質において、評論ではなく「小説」なのだ。小説について、もっともっと、考えたい人のために。大好評『小説の自由』につづく、待望の第二弾。

登録情報

  • 単行本: 432ページ
  • 出版社: 新潮社 (2006/9/28)
  • ISBN-10: 4103982063
  • ISBN-13: 978-4103982067
  • 発売日: 2006/9/28
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.8 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
子どもの諸力 2009/12/16
By YT
形式:単行本
 私は何年か前にスペインのスタジアムで某作家が、サッカー観戦する企画のテレビを見た。
ゴールが決まり他のお客は熱狂しまくっていて、同時に彼も席を立ち上がった。
けど、すぐタバコに火をつけて一服しはじめた。コートを着ていたからたぶん冬だったと思う。
番組を見ていたらしい保坂氏がその様子を「あんなんだから,作家としてダメに
なったんだ」と保板(HPの掲示板)で書いていた。

 パチンコの大当たりが出てうれしいはずなのに興奮を鎮めようとして
無意識のうちにタバコを吸うように、大人は喜びや退屈の濃度を別の何かでまぎらわして
中和するテクニックを習慣的に身につける。
しかし保坂さんは明確に「そんな態度で小説は書けない、「子どもが地面を転げ回るような活力」
こそが必要なのだ」とこの本で伝える。
子どもは喜ぶときも退屈するときも地面を転げ回るのだ。不思議なことに。
澄まし顔の文学に興味がまったく湧かない人に向けて、この本を強く薦めたい。
このレビューは参考になりましたか?
28 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By デルスー VINE™ メンバー
形式:単行本
なるべく生のままの思考をごろりと投げ出すような形で、
ふだん考えていることを思いつくままに書き綴ってみた、
という体裁の本書だが、
なぜか前作『小説の自由』ほどには面白くなかった。

著者がほめるタイプの小説が、
彼自身ですら「読むのが辛い」ものであるのは、
視覚的に透明な了解を意図的に拒否するように書かれているからで、
他方、感傷的な比喩だけでサラサラと流れていくような文章は、
思考の怠慢以外の何物でもない、とする主張自体は、
彼の著作に親しんでいれば、さほど目新しいものではない。

そのことが、彼がつねづね口にする、
「小説の言葉は、人間のリアルな肉体性を、
どこかで反映している必要がある」
「小説は人間のネガティブな面だけを拡大して書くのではなく、
世界を肯定するものであってほしい」
といったことと、どう結びつくのかというと、
簡単に言えば(簡単に言うと著者に怒られそうだけど)、
「ひとつひとつの細部のイメージを大事にしていくこと、
イコール、世界の肯定」ということになるのだろうが、
彼自身の作品は、たしかにそういうメッセージを発しているにしても、
本書に引用された作品の多くは、どちらかと言えば、
「シニフィエを持たないシニフィアンの無限の連鎖」
「世界とは切り離された言葉の自律的な運動」
を称揚するたぐいのものであって、
必ずしも彼が言うような意図で書かれてはいないような気もするし、
それを読んで精神が解放されるということは、
少なくとも私の場合、あまりないように思う。

最後に、これは著者の癖のようなものだろうが、
彼からすれば質が低いと思える考え方をこき下ろして、
文章に景気をつけようとするかのような書き方が、
今回はいつもより気になった。
作家の小説論が、つねに自作の弁護の様相を帯びるのは当然だが、
どこか躍起になってそれに冗舌を費やすよりも、
次作の完成に力を注いで欲しいと思うのは、
いささか贅沢な注文というものだろうか。
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14 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
単純に、小説をめぐる思考、という感じでよかった。はっとさせられるアフォリズム的な問いかけが随所でみられながら、けれど、大抵の箴言集のように断片的ではなく、あくまでもその「決めの一文」にいたるまでの思索が、著者自信のうねうねとした文章と、著者お気に入りの作家や思想家からの引用を通して追体験できるようになっているのが素晴らしく感じた(著者の引用は魅力的で上手だと思う。ときどき長すぎるけれど、しかし原書にあたってみたくなることが極めて多い)。この辺が、たぶん著者のいうところの小説的なおもしろさが存分に発揮されている所なのだろう。
あえてタイトルに引き寄せて言えば、この本のなかで語られている思考のうちの特に重要な部分は、小説が、真に優れた小説がこの世に産み出される時間の特別さ・可能性について解説し、それが生まれてきてくれたことのありがたさに対していわば感謝をするための言葉なのだと考えたい。「幸せとか不幸せとか関係ない世界をみんなで作りましょう」という粋なスピーチに好意的な反応を示し、人間であることのくるしさをしかしくるしみのままに肯定しようとする意志の力を賞賛し、そして現実には起こらなかったことを現実に起こったことにたよらずにイメージするにはどうしたらよいかを探求し、その道に至るための言葉を夢想する。
ああ、無償に小説が読みたくなる。人間の脳内に小説モジュールのようなものがあるとしたら、この本ほどその領域を活性化してくれる文章の集合は、なかなか書かれてはいないだろうと思う。
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