私個人の結論から言いますと、本書はオススメ出来ません 。
作家志望の方は、書きあぐねた人の為の小説入門の方が良いです。
気になるなら、書店へ行って本書の最後にある[実績的添削教室]の添削を見てください。 私は、手直しされた文章もつまらないと感じました。
小説を解体し、ある部分をピックアップする方法は、国語のテストで、作者の考えや意図したテーマを書け、と言う方法論に感じます。
何かにつけて文豪崇拝、名文崇拝が目立ち、読んでいて、何処にでもある小説解説本と変わらないと思いました。
本書は、著者のマニアックな読者感想文です。
しかし、「小説家は大変」と言うのは同意できます。
音楽は音を知らないと出来ません。絵は絵を知らないと描けません。 なのに、文法を知っているだけで作家になれる、と錯覚する人が多いと思われます。
作家は、音楽をしたり絵を描くのと変わらない大変さがある、と教えてくれました。
(追加)
上記のレビューが個人感想メインでしたので、レビューが足りていないと思い、追加させて頂きます。
ちなみに、当方は小説家でも作家志望でもありませんし、少し批判的な感じのレビューになっていますので、一人の読書家の意見としてお読み下さい。
本書は全体的に削る事の重要性を解いています。
ともすれば書き込みすぎると言う落とし穴に、はまらないようにしようとの注意があります。
私は筑摩学芸文庫の「名文」のように、たくさんの作家の書き出しや、紹介のような文が載っているものと思って買いました。
本書の基本構成は、著者が敬愛している作品や作家の言葉を並べ、それらを文字通り解体して技法を説明しています。文学者らしく、様々な日本とヨーロッパ、アメリカの小説が出て来ます(それ以外は出て来ないです)
途中の『書き出しのパターン』と呼ばれる部分では、講義形式のようになっていて、そうする必要性が全くないように感じましたが、それは以外は纏まっていて読みやすかったです。
では何故、本書を星一つにして保坂氏の小説作法的な本をお薦めするのかと言うと、そちらの方が小説に限らずに様々な事が書かれてあって、為になったと思ったからです。
こちらは完全に小説家に限られた本であり、一般人が読んでも何ら得る部分はないと思います。
本書の大半が、「この小説を見てみるとこういう凄い技法があり、これを私はこう名付けています。(東京のプリンスたちをメリーゴーランド方式と名付けたり、村上春樹氏の中国行きをサンドイッチ方式と名付けたり)そして、これが書けるこの作家は凄い」と手放しでほめていて、他方、興味のない作家は本書の著者紹介文にあるように『一刀両断』しています。
(永井龍男の『秋』を日本語の模範的な教科書と崇拝的絶賛をし、四大元素の想像力の項で、宮崎駿が飛ぶ事しか脳がないとこき下ろす。私は宮崎ファンではありませんが、他の方の批判も多数ありました。“今時、こういう書き方をしたらバカかと思いますよ”とか・・・)
これは著者の癖らしく、他の書籍のレビューでも指摘されているようです。(私は読んでいませんので、なんとも言えませんが・・・)
小説志望の方には星五つの内容かもしれませんが、その他の方には読書感想文を延々と読まされているような感覚に襲われます。(繰り返しの表現ですみません・・・)
後、老婆心から言わせて頂きますと、作家志望の方は小説家や劇作家や脚本家などの、職業作家が書いた本を読んだ方がいいかと・・・ 芸術と金の問題など、リアルな事情をかいま見られるかもしれませんし、これから先輩となる人達の言葉ですから、参考になる言葉が見つかるかもしれませんよ?
最後に、本書の後書きにあった言葉を紹介します。
本書は結局、これが言いたかったんだと思います。
「この本が多くの人の『小説家になる』助けになれば幸いだが、逆に、こんな大変な事なら作家になるのは諦めた、といって、悪の道からとっとと引き返すきっかけになってくれれば、それはそれで、世のため人のためになるかもしれない」
・・・だったら、タイトルを『作家なんてやめましょう』にして、そういう内容の本で書いてほしかったなぁ、と思いました。
憎まれ口で締めてすみませんが、追加レビューは以上です。