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小説の自由
 
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小説の自由 [単行本]

保坂 和志
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

小説は読後にテーマや意味を考えるものではない。小説はそのような固定した〈名詞〉でなく、読むたびに読者に向かって新しい世界観や人間や「私」についての問いを作りだす、終わることのない〈動詞〉の集積なのだ。誰よりも小説を愛している小説家が、自作を書くのと同じ注意力で、実際の作品を精密に読んでみせる、驚くべき小説論。

内容(「BOOK」データベースより)

誰よりも小説を愛する小説家が、自作を書くのと同じ注意力で、実際の小説作品を精密に読んでみせる、驚くべき小説論。

内容(「MARC」データベースより)

小説は、読んでいる時間のなかにしかない。読むたびに、「世界」や「人間」や「私」について、新たな問いをつくりだすもの、それが小説なのだ。誰よりも小説を愛する小説家が提示する、決定的小説論。『新潮』連載を単行本化。

出版社からのコメント

ベストセラー『小説を書きあぐねている人のための小説入門』の著者による必読の小説論です。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

保坂 和志
1956年、山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政経学部卒業。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

抜粋

まえがき
 私にとって小説とは「読む」もの「書く」ものであると同時に「考える」ものだ。
私は読んだり書いたりする以上に、小説について考えることに時間を使っている。
「考える」というのは、評論したり批評したりすることではない。もっとずっと漠然
としていて抽象的で、しかし時によってはものすごく細かくて厳密で、そういうこと
がつまりこの本全体を通じて書かれているから読んでもらえばわかるけれど、「読む
前に少しだけでも教えてくれ」というせっかちな人のために強いて言うなら、サッ
カー少年が一日中ボールを蹴っているようなもの、ということだろうか。
 ボールを蹴りながら彼はボールを自在に操れるようになるための練習をしているだ
けではなくて、自分の動きを憧れの選手のボールさばきに重ねてみたり、自分が試合
に出たときのドリブルやシュートをイメージしたりしているのだ。試合の流れやサッ
カーという競技に対するイメージや美学がなければいい選手になれないのと同じよう
に、書く技術だけでなく小説という表現形態や人間や世界に対するイメージや思考の
積み重ねがなければ小説は書けない。
 日常や新聞・ワイドショーのレベルで考えられている人間や世界のイメージと別の
イメージを作り出すことが小説の真骨頂であると私は考えるから、「読む」「書く」
だけでなく「考える」という抽象的な時間を多く持つ必要がある。
 そういう時間を積み重ねていくと、小説というものがテーマとか意味という限定さ
れた読まれ方をするものでなく、もっとずっと動的で多層的なものだということが感
じられてくるだろう。テーマや意味は“名詞的”な固定したものだが、小説はそんな
ものをこえた終わることのない動詞の集積なのだ。

 文中に「先月」とか「先々月」という言葉が出てくるが、それはこの本が「新潮」
で現在も継続中の「小説をめぐって」という連載の最初の十三回分をまとめたものだ
からなのだが、本として単独に読めるように書いてある。というか、「新潮」誌上の
連載自体が基本的には、その号だけを手に取って偶然に読んだ人にもわかるように心
掛けているので、この本もどこから読んでもらってもかまわない。
 もっとも、読者自身に、小説について真摯に考えようという気持ちがまったくなけ
れば、最初から通読してみても理解できない、ということはあらためて言うことでは
ないが、小説とは何か? 小説とはどうしてこういう形態なのか? なぜ人は小説を
必要とするのか? ということを真剣に考えている人に向かっては、私は私に書ける
かぎりの力を振り絞って、毎月真っ正面から応えるつもりで書いてきたし、今もそれ
をつづけている。
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