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小説の理論 (ちくま学芸文庫)
 
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小説の理論 (ちくま学芸文庫) [文庫]

ジェルジ・ルカーチ , 原田 義人 , 佐々木 基一
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登録情報

  • 文庫: 237ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1994/12)
  • ISBN-10: 4480081666
  • ISBN-13: 978-4480081667
  • 発売日: 1994/12
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 204,757位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
西欧マルクス主義の代表的人物、ジェルジ・ルカーチ(1885~1971)の小説論。1920年の刊行です。

小説は何処から来て、何処へ往こうとするのか?普段、私たちがあたりまえのものとして受け止めている小説は、一体どのようにしてうまれたのか、そしてどのように変化してきたのか、本書において、ルカーチは小説の成立・発展の歴史を、歴史哲学的に解明していきます。

ルカーチによると、人間がまだ世界の一部として存在していた時代は、叙事詩という物語形式が存在するのみでした。しかし、人間に自我や内面が生じ、自我が自己の内なる深淵を知ったとき、世界と自我との間に決定的な溝が生じ、私たちは世界から追放されます。これが有名な「先験的な故郷喪失」であり、以後、私たちは自分の外にあるものよりも内面へと向かうようになり、近代独特の形式「小説」が生まれたということです。

こうして生まれた「小説」ですが、小説にはどのような運命が待っているのでしょうか?ルカーチは小説のたどる隘路を指摘しています。それはペシミズム・幻滅の弊害です。ルカーチは、「幻滅のロマン主義」という言い方をしますが、人間の内面が一層重要になるなかで、はじめから外界において敗北することを確信した幻滅的・絶望的な気分がうまれます。それにより、小説は救いがたいペシミズム・情緒へと解体され、漠然とした陶酔や、虚しさ、悲哀、冷笑、懐疑、といったものが、小説を支配するようになるということです。まるで現代の文学的状況の行き詰まりを予言していたかのような、驚くべき精確さの分析です。

ルカーチはマルクス主義の凋落の中で殆ど顧みられなくなりましたが、彼の思索には、忘れ去られてしまうのは余りに惜しいものがあります。本書もまさに古典の名にふさわしい名著であり、小説を深く考えたい方には是非ともおすすめしたい一冊です。

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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 純丘曜彰 教授博士 VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 マルクス主義に染まる前のルカーチ35歳の著作。基調は、社会と個人の亀裂に生まれる冒険譚についての話で、きわめてヘーゲル美学的。ここにはマルクス主義の片鱗すらも、まだ無い。

 原文からして読みにくい。翻訳はもっと読みにくい。それは、ハンガリー人がドイツ語で書いたヘーゲル風の文章だからで、それを翻訳に際して、ヘーゲル的な関係節を分断反復して訳す、という直訳的な方法を採ったため。

 それ以前に、これ、「小説」ではなく「ロマン」の理論だ。日本の近代文学論には、もともと「ノベル」とはまったく別の「ロマン」が、大衆娯楽扱いになって、まるまる欠落してしまっている。そのため、「ロマン」を「小説」などと訳し、それと別に「浪漫主義」などと言うから、全体を貫く主旨がまったくわからなくなった。ここでいう「ロマン」は、『ドン・キホーテ』を嚆矢として、映画を含む連続冒険活劇のような通俗的なもの。神を失った近代大衆の中に、孤独な大衆文化としてのロマンが息づく理由の考察こそが、この本のテーマ。(『タクシードライバー』や『ランボー』こそ、ここで言うロマン。)

 そもそも、ルカーチの原書からして、20世紀前半のヘーゲル右派や新カント派の概念を基礎としている。そのうえ、ジンメルやディルタイ、ウエーバーのような社会学の影響も強い。そして背景の根本には、ニーチェのデモーニッシュな破滅的美学がある。このため、これらの哲学や社会学の基本を知らずに、いきなりこの本を読んでも、おそらくさっぱりわからないのではないか、と思う。

 近代文学論ではなく、近代の大衆文化論を考察するには、『大衆の反逆』『自由からの逃走』などとならんで、必読書。ただし、上記のような主流各派について、きちんと学んだ上で取り組むのではないと、たんに時間のムダ。
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