評論でもエッセイでもない、著者がどこかで言っていたような小説「論」でもない、何か。
そういう「何か」を手にしているということが単純に嬉しくなる本です。
僕は、「読書のコンテクスト」みたいなものを持ち合わせていないからか、ジャンルの額縁に入れてしまうことをしないで(できなくて)読めたのが幸運だったと思う。
でも、物体として本になっているという側面から眺めてみると、何を書いてるの? いきなり何を語り始めるの? 小島信夫さん…だれ? ってこともある、「というか」僕にはあった。
だけど…
だけど、そのせいで分厚くなって(分厚いです。分厚くて四角いです。)、うん、そう、結果的には良かったのじゃない? と思う。
「文系人間」保坂さんだからこそなせる業(わざ)、それが(僕のような)アバウトな「理系人間」の思考回路を機銃掃射してくれるのです。
ようするに、僕はこの「本」が好きになったのでしょう。
それで、読み終わってみると書いてあったことが「よく分かっていた」。
それくらい(?)「分かりにくい」本です。
「よく分かるように」書いていたら分厚くなった、そういう感じ…でも、小説というものを「簡単に分かるように」とか「手っ取り早く理解できるように」とか、そういうのじゃない、「というか」そんなことできない。
だから、これから読む人に勘違いされたらすごく申し訳ないけど、もう僕にとってはこれは「一種の小説」になりそうだ、そして、こういう「小説」ならまた読んでみたい、できたら僕も書いてみたい、そういうふうに思います。