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2004年元旦のアバド指揮ニューイヤー・コンサートを見終わって、
老眼鏡姿で楽譜をペラペラめくり、淡々と指揮するアバドの演奏に
何か物足りなさを感じて、2002年に録画した小澤のビデオを
見直してみた。
全曲暗譜で、しかも踊るような指揮ぶりの小澤の
なんとチャーミングでエレガントな演奏か・・・。
ため息が出た。
繰り返し何度も見て、翌日にはこのDVDを注文してしまった。
まだ指揮棒を携えていた86年の映像を比較して見たが、
若々しくはあるがどこか振りが硬い。肩が強張っている。
2002年・・・小澤は完全に「全身指揮棒」となった。
まさに心技一体になった見事な指揮である。
長い白髪の一本いっぽんが、拍節に踊る。
ヒラヒラ蝶のごとく艶やかに舞う手の平。
雄弁に語る指先。お茶目な流し目から、一転して鋭い眼光を効かす。
時に、オケを完全にドライブし、また時に存分に歌わす。
その勘所の冴えは見事である。
時折、叙情的な旋律に目を細める様は、まるで
スターウォーズの老賢者ヨーダのようにも見えて微笑ましかった。
ウィンナ・ワルツ独特の微妙な拍節を、小澤はカラダを瞬間停止
させることによって表現している。その様が映像でよくわかる。
『エリーゼ・ポルカ』で、諸手を広げフィナーレを閉める様は、
さながら師匠のカラヤンを彷彿させた。
『こうもり序曲』は見事な名演である。
会場からブラボー! が飛び交う。
お約束の『ラデッキー行進曲』は圧巻である。
あたかも、小澤がオケと聴衆の全軍を率いて
行進している軍神マルスのように見えた。
最後はスタンディング・オベーション!!
紳士・淑女といった装いの観客がみな上気した顔で、
嬉々として拍手喝采を贈っている。
このDVDには「大人の贅沢な楽しみ」が密に詰まっている。
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