本来は1作ごとに廉価で別売りされるべきとおもうので、このような高価なボックスは星ひとつと評価します、
現在では、小津映画のような古い作品が商品化されたり放映されたりする場合、「製作されてから長い年月が経っておりますので、お見苦しい個所がありますが、なにとぞご了承ください」といった文言が付加されるのが当たり前の状態になっています、
それしか見ることが出来ないのですから購入者や観客にとっては了承するもなにもないわけですが、果たしてその原因は「製作されてから長時間経過したから」なのでしょうか、
たとえば小津映画と同時代に製作されたロバート・ジョンソンの60曲ほどの録音は現在残っている当時のSP盤をレストアした音以外には残っていないわけで、これこそ当時の「レコーディング」技術を考えれば仕方のないことですが、撮影された「フィルム」はまったく違います、
現在も所有権や著作権を有する企業が自社の商品である「映画フィルム」について商品価値なり文化的価値を感じてまっとうな管理を実行していれば、いまでも私たちは小津の全作品を美しい映像で見ることができたはずです、「企業の志の低さ」がフィルムを散逸させ、幸運に残ったフィルムにしてもノイズだらけにしてしまったわけです、同じ企業がやはり低い志のもとに本作のような高価なボックスセットを臆面もなく発売しているのが現実でしょう、