本書は『小さな手袋』(小澤書店、1976年刊)と『珈琲挽き』(みすず書房、1994年刊)を底本とし、 著者の友人でもあった庄野潤三氏が編集したもの。本文は新字旧仮名遣いです。
読みはじめると、静謐でありながらユーモアのにじむ筆致が、じんわり心にしみて…冒頭から3つ目に収録されている表題作「小さな手袋」で、もうすっかり小沼作品の虜になってしまいました。
とある酒場で隣り合わせた男と女の、何気ないやりとりを描写した、だたそれだけの作品。ですが、随筆というよりは一篇の小説のようでもあり、ページを繰るたびに、本を読むことの愉悦が、心の奥底から、じんわり湧き上がってくる。
心が疲れたとき、ほのぼのしみじみしたいとき、何より美しい日本語を堪能したいときは、どうぞ本書を手にとってみてください。
手にしっくりなじむ、《大人の本棚》ならではの装幀で、小沼作品の魅力を存分に。