2004年に朝日新聞社から単行本で発行されたばかりなのに、うれしい文庫での発行。
対談集なのだが、相手の選び方が“小沢昭一的こころ”で素晴らしい。
落語家は桂米朝師匠と立川談志家元という大御所、泣きの桂小金治に笑福亭鶴瓶、
そして41歳で入門という柳家り助(現麟太郎)の5名。相手に応じて聞き上手な
小沢昭一さんが、語らせたい部分を無理なく引き出してくれている。
名人の幇間は聞き上手だというが、聞き手の小沢さんにそんな名人芸を見る思いだ。
研究者の立場から延広真治、講談から神田伯龍師匠(ご冥福をお祈りします)、浪曲
界からは元気な国本武春。あした順子・ひろしの両師匠の話には、お二人の芸歴に
関する多くの発見があり、基本が出来ているから何度も楽しめる芸なのだなぁ、と
納得。これからも活躍していただきたいし、一席でも多くお二人の芸に接したい。
出囃子の小松美枝子さんの話には、寄席の裏舞台を少し覗かせてもらう楽しさが
あった。末広亭席亭北村幾夫さんには祖父銀太郎大御所からの伝統をぜひ守って
欲しい。トリを俳句仲間の矢野誠一できっちり締めるというのも、よく出来たある
日の寄席のようでなかなか考えられた構成だ。
とにかく寄席の灯を消さないで欲しいし、そのためには、また寄席に行かなくては、
と思わせてくれる。小沢昭一さんの若々しいポジティブな姿勢にも刺激を受けた。
寄席ファン、落語や演芸ファン必読の好著である。