本のタイトルとは違って内容は極めて論理的且つ明快に日本的保守思想とは何であるか、
そして近代保守思想家の開祖ともいえるエドマンド・バークや
大衆論の大家、オルテガ、古代ギリシアの哲学者プラトンなどの言葉を交えて
現代にはびこる民主主義がいかに欺瞞と矛盾に満ちたものであるかを示している。
第一章においては、エスプリの効いた物語の様な調子で綴られている四凡人民政問答は
政治や思想の初心者にもすんなりと理解できる文章であると思う。
今現在日本国民が感じている政治や社会に対しての不満、知識人やマスコミの欺瞞と嘘、
政治家たちのあまりにもの無知と思想の無さをとてもユーモラスに書かれているのは
読んでいて納得のいくものであり頷くかぎりである。
第二章は著者西部邁が政治評論家、思想家としての人生において、交流があった政治家や
出会ったことのある政治家たちについて語られている。
自分が読んでいて印象的だったのは、
小沢一郎の章での三度にわたる交流の経緯と内容、事の顛末と
小泉純一郎の章での、小泉純一郎という人物の人間性と思想哲学の無さと、
狂気を帯びた狂相についてだ。
自分は小泉なる人物の総裁選時での語り口調や表情を見ていて、
狂気と己を顧みる事の出来ない人物、と感じとっていたというのも
著者と考えを一致する部分である。
この2人に通ずるあまりにも大衆的、近代主義が作りだした宿痾とも言うべき存在であり、
戦後日本を覆いつつける民主主義という欺瞞が作りだした、まさにゴロツキであると言える。
第三章の文明の敵・民主主義については、西部的保守思想の概要を簡潔かつ明快に書かれていて
西部邁の著書の中では非常に読みやすい。
近代国家主義また、民主主義の危うさ、
そして大衆主義への転落していかざるを得ない民主主義の問題点を
明確に解かり易く書かれている点も秀逸だと言える。
保守思想の入門書として、保守思想の概要を知るという意味においておすすめできる書籍だと思う。