『子連れ狼』『修羅雪姫』『弐十手物語』など多くのヒット作品を手掛け、また高橋留美子『
うる星やつら』『犬夜叉』、原哲夫『
北斗の拳』、板垣恵介『
グラップラー刃牙』、堀井雄二『
ドラゴンクエスト』など多くの弟子を輩出してきた劇画村塾の塾長としての顔をもつ御年75歳を迎えた現在もなお現役の劇画原作者として第一線で活躍し続ける劇画界の巨匠・小池一夫!
本書は『映画秘宝』〈04・5月号〜05・4月号、09・5月号〜11・2月号〉に連載され、小池氏自ら自作について語られた内容で構成されたもので当時よく愛読していた私にとっても今回の単行本化は誠に嬉しいかぎりである。
第一章では、特に知られざるデビュー前の挿話についても語られており、中央大学法学部から農水省の役人として順風満帆なエリートコースを歩むも入省してから一年も経たないうちにドロップアウトして学生時代から慣らしていた麻雀でメシを食っていた挿話やさいとうたかを氏が主催するさいとうプロに入って『
ゴルゴ13』の誕生秘話や脚本を手掛けていた当時の挿話は興味深い(本作でも特に面白いので一読されたし)。
第二章ではさいとうプロから独立、そして氏の代表作である『
子連れ狼』の誕生秘話(氏が常々提唱している
キャラクター原論がここで実践されているので必読)や物語の構成について、また本作によって一躍売れっ子となった氏が恐るべきまでの量産体制で作品を発表(しかも作品の品質を落とさずに)していた事に驚かされるであろう。
また、小池氏自らがほぼ全作に近い形で自作を解説されており、特に一作々々のキャラクターの創り方・立て方を中心に当時の氏の創作挿話が語られているのでそれを聞けるだけでも大変貴重であり、その意味でも後世に伝えるための資料として本書は十分な役割を果たされていると思います。
他にも『
クライングフリーマン』『
赤い鳩(アピル)』『
マッドブル★34』といった作品が作者の思惑とは別に不本意な形で終了を余儀なくされた挿話なども興味深い。
梶原一騎氏もご存命であれば、是非このような書を出して頂きたかったし、自己の作品についてどのように語るのかも小池氏同様興味があります。
個人的には武論尊先生の書も是非出して頂きたいです。