小林のゴッホに対する直感はこうであった。
〈労働は彼の人生の綱領であり、労働による自然との直接関係の中にしか彼はいかなる美学も倫理学も認めてゐない。
彼のナチュラリスムとは、自然との不断の格闘の事であり、この格闘により、自然は人間の刻印を受け、人間は自然の刻印を受ける。
この一全体を、饒舌と作為とによって解体しようとする現代に抗して彼は「人間性(ユマニテ)」と呼ぶのである。
彼を駆り立てる彼に親しい魔神も其処にいた。〉
ゴッホの死後、おそらくは、この世の唯一の理解者であった弟のテオはあと追いするように亡くなった。
ゴッホは最後テオ宛の手紙にこのように書いておりました。
〈さて、ぼくの仕事のことだが、ぼくは仕事に命を賭している。そして、すでにぼくの理性は、その中で半ば崩壊した。
それはそれでよろしい。だが、君は、ぼくの知る限り、そこいらにいる商人どもの仲間ではない。
君は未だ人間らしく行動することを選ぶことが出来る、とぼくは思う。そうではないか〉