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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「観」をめぐるディスクール,
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レビュー対象商品: 小林秀雄全作品〈17〉私の人生観 (単行本)
小林の「私の人生観」は「観」という言葉をめぐっての、仏教をはじめとする、さまざまなエピソードと思索に満ちている。その核心は見ることとと考えることが一つであるような生き方が、すぐれた芸術家や思想家には見られるということだろう。明恵、釈迦、武蔵、ベルクソンなどの思想や生き方が、小林の言表によって、無類の説得力をおびている。そこに一貫するのは、現代文明への根本的な反省の必要性である。「生」に対する有機的な感覚を喪失した我々のあり方への批評である。講演体ということもあって、他の代表作からは低く見られがちであるが、この作品は小林の残した文章の中でも、非常に重要なものである。何よりも、自分の人生観の試金石になってくれるのだ。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文庫絶版の原因,
By 追い求め屋 (東京都葛飾区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 小林秀雄全作品〈17〉私の人生観 (単行本)
遥か昔、高校時代に推薦図書として「私の人生観」と「モオツァルト」を文庫で読んだ。当時はともにまったく理解できなかったので、いつかリベンジしなければと思っていた。この十年ほど文化や歴史にだいぶ傾倒し、そこそこの基礎知識を蓄えたつもりなので「もう読めるだろう」と思っていたが、昨年ひょんなことから新たに「モオツァルト」の文庫を買い込み読んだところ、理解できたように思えた。その後小林秀雄のことはしばらく忘れていたが、本作を図書館で見かけた。調べたら文庫がなくなっており、ややショックを受けた。本作の印象、ひいては文庫が絶版となった原因を自分なりに考えたところ、以下の二つに思い当たる。 ・「モオツァルト」より難しい。 本作も「モオツァルト」も、文化や歴史にそこそこの造詣がないと読み切れない。全集と異なり作品集には注が付いているが、それでも本作は「モオツァルト」より深い教養が要求され、難易度が高いように思える(ゆとり教育の世代では到底太刀打ちできるとは思えず、推薦図書に上げられるどころか、絶版もやむなしか)。 ・講演形式のため、やや分かりづらい。 小林本人もいっているとおり、話すことと書くことはまったく別物である。「はにするかがにするかで、二日も三日も考えることがある」とも述べ、自分が書いたもの以外が活字になることを極端に嫌ったそうである。例えば、自分が知らないところで勝手に活字になる可能性がある場合、具体的には講演などが無断で録音されているのを見つけたときには、その場で帰ってしまうこともあったそうな。講演をどうしても活字にするという場合には、彼自身が十分に手を入れた後、出版という形をとったそうである。とはいっても、やはり初めから十二分に練ったものには遠い感があり、分かりにくい面があるのは否めない。
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