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小林秀雄―越知保夫全作品
 
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小林秀雄―越知保夫全作品 [単行本]

越知 保夫 , 若松 英輔
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

美と愛と聖性を鮮烈に論じた代表作「小林秀雄論」、フランス文学論、芸術論、古典論「好色と花」など越知保夫(1911~1961)の全作品を収録。

出版社からのコメント

美と愛と聖性を鮮烈に論じた代表作「小林秀雄論」、フランス文学論,芸術論,古典論「好色と花」など、越知保夫(1911〜1961)の全作品を収録。
越知保夫の遺稿集『好色と花』(筑摩書房、1963年)に、未収録の詩・批評・劇作や書簡、さらには編者による小伝・年表・著作一覧を付して復刊。
「批評」や同人誌などで40〜50年代に評論家・詩人として活動した越知は、特に一連の小林秀雄論が秀逸。
吉田健一らにその才能を認められ、遠藤周作や須賀敦子に影響を与えた。近代のシニスムを打破する者として小林を捉えるなど、独自の小林秀雄論を展開。

登録情報

  • 単行本: 531ページ
  • 出版社: 慶應義塾大学出版会 (2010/5/25)
  • ISBN-10: 4766417380
  • ISBN-13: 978-4766417388
  • 発売日: 2010/5/25
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By Padova
 題名にもなっている通り、越知保夫が書いた小林秀雄論は秀逸です。50年経過した今も、鮮烈な印象を覚えます。
小林秀雄の作品に顕現する聖性とそれを追求する求道性、さらにその道を歩くなかで、
彼が経験した神秘を論じ、論理の破たんなく肉迫する手腕には驚かされます。

 越知保夫はキリスト教哲学者吉満義彦の弟子であり、中村光夫の「好敵手」、
カトリックの批評家としては遠藤周作(若き日の遠藤周作は批評家でした)の先行者でした。
解説にもあるとおり、間接的関係ではあるものの、須賀敦子、井筒俊彦といった人物とも結びつきがあるということも興味深い事実です。

 ガブリエル・マルセル、クローデルなどフランス文学に関しても優れた論考を残している彼は、
古今集を中心に論じ、存在論的歌論ともいうべき「好色と花」という秀作を書いています。
和歌に発見するのは、美だけではなく、聖性ともいうべき実在へと向かう魂の趨勢だというのです。

 人物論的にも興味深く、小学生の時に洗礼を受けた彼は、無神論と革命を説く左翼運動にプロレタリア作家としてではなく、
一活動家として参加、逮捕、投獄されます。 この「転向」を彼は活動家としての挫折ではなく、
むしろ、キリスト者としてのつまづきだったと信じていたことです。
 人間は、思想を知ることはできても、究極的な意味では信じることはできない。
信じるべきものではない何かに人間が「信仰」をささげるときの悲劇を、やはり政治的挫折を経験したドストエフスキーと合わせ論じています。
 
 また、彼のチエホフ論も簡単に類例は見つからない。
この劇作家は現世の現実よりも、異界の姿を描き出しているというのである。
チエホフを宗教から自由な「予言者」だといったのは井筒俊彦ですが、チエホフは現実界ではなく、
異界の実相を描いたのだといった批評家はやはり、稀だと思います。
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By bias トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
すばらしい本。著者は生前、1冊の著作も無かった。
だが亡くなった直後、筑摩書房が『好色と花』と題してエッセイ集を刊行。
本書はそれを大幅に増補したものだが、没後半世紀も経って、
1冊本全集として刊行されたのは、単に追慕した人がいたからではないだろう。
(とはいえ、吉田健一、遠藤周作はじめ、著者を高く評価した著名人は多い)

なによりも文章が、とびきりうまいから。
その「うまさ」も、巧緻とか精妙とか練達というのではなく、
真直でありながら野暮ったくなく、毅然としながらも優しみがあるうまさ。

越知が敬虔なキリスト者で、挫折した左翼主義者という予備知識だけで
(読まずに)納得してはいけない。信心深くとも抜け目ない文筆家は多いし、
自虐と自尊が煩わしくつきまとった転向者も少なくない。
そうした臭味は、越知のエッセイからは全くうかがえない。

特に小林秀雄の愛読者ではないが、越知の小林論は、面白い。
越知は、小林のゴッホ理解を畏敬をもって読み解いているけれど、
自分は本書の越知の文章で、小林もゴッホも再認識した。
(すべて同意するわけではありませんが)
和歌や能を論じた古典論も、同様。

巻末の「小伝」を書いた若松英輔もいうように越知は、『本居宣長』
はじめ、越知没後に展開される小林の仕事をあたかも見通していたよう。
そんなせいか、越知の書いたものは、どれほど明晰怜悧であっても
もはや批評家の文章ではなく、預言者のそれのように思えてくる。
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