さて、「蟹工船」の作者である小林多喜二の人生を多喜二の作品およびその他の資料を絡めて綿密な文献考証の基に書かれた本です。新書ですからある程度の制約はあるものの、充分に小林多喜二の魅力に迫った内容になっています。生い立ちから、小樽時代から拓銀行員、東京に出て没するところまで書かれています。非常に読みやすい内容で新たな小林多喜二像を与えてくれます。昨今、「蟹工船」ブームになり小林多喜二の時代と今の時代とが酷似しているのを考えれば小林多喜二が今後読み継がれていくのは当たりまえのことでしょう。それに小林多喜二の文章が印象より非常に読みやすく書かれているのも知ることが出来ます。著者によって検閲で伏せ字になったところにもちゃんと文字が当たれています。多喜二を考える上での良質な本だと思います。