保守論客中川さんが、タイトルの小林よしのりをはじめ、長谷川三千子、八木秀次、田中卓、高森明勅、小堀桂一郎といった、世間からは同様に「保守」「右」と見られている人々を、「逆臣」「コミュニスト」「国語力ゼロ」「学者として三流にもなれない六流」「脳が昆虫程度しかないのか」など、滅多切りにしています。
また、「皇国史観」は実は赤化した陸軍省将校と文部省官僚が作った、反天皇的なイデオロギーであり、平泉澄は「昭和天皇の監禁・脅迫・誅殺未遂犯罪者」であると喝破しています。
中川さんの主張は、「皇室典範改悪を許すな」「男系男子天皇以外はありえない」というもので、これ以外を許容する、あるいはこれ以外の意見に敢然と戦わない論客は同志とは認めません。ということで、前記の人々が散々叩かれているわけです。いつもの中川節が今回はヒートアップしている感じです。
今回は、前半に、中川教授と和気清麻呂の架空対談があります。正直言ってこれはのりすぎ。普通の文章でよかったのではないかと思います。「ところで、奈良・平安時代の人である清麻呂公は、どうして野球をご存知なのですか」「皇居の大手濠公園に立っていると暇なので、時々、後楽園のドーム球場のなかを覗き込んでいます」(73頁)といった漫才もありますが。
微瑕ではありますが、間違いを指摘します。
・長谷川三千子さんに言及している箇所に「祖母の宇野千代が泣いている」(215頁)とありますが、長谷川さんの祖母は「野上弥生子」です。
・小堀桂一郎さんの肩書きを「東大国文科教授」(274、289頁)としていますが、小堀さんの所属は本郷ではなく、駒場の教養学部でした。
中川さんは他人の表現ミスや間違いには厳しく言及しているので、ご自分でも注意された方がよいかと。