見ごたえのあるA4判で
印刷、造本、装丁も美しい。
さすが版画美術を専門にしている版元の仕事です。
雪岱は近年、再評価が著しく
過去に刊行された画集も入手が困難。
先ごろ、埼玉県近代美術館で開催された雪岱展の図録も
古本屋やセドリ師が買占めてしまい
ヤフオクなどで高値がついています。
その意味で本書は「フェア」な本だといえます。
定価は高いかもしれませんが
安い定価にしたところで
古本屋やセドリ師が買占めてしまうのがオチ。
「本当に欲しい人だけに買ってほしい」
という値付けには賛同します。
惜しむらくは
雪岱コレクターが多いにも関わらず
個人蒐集家には目もくれず
わずかな機関・団体が持つ所蔵作品で
画集をつくってしまったことです。
(個人蒐集家から協力を拒否された可能性もありますが)
データの抜け落ちが続出の「作品年表」は
目もあてられない”惨状”を呈しています。
たとえば、雪岱が表紙を手がけた俳句雑誌『春泥』は
国会図書館に所蔵されているのに
それすらチェックされていません。
もし、卒業論文のテーマを雪岱にしようと
考えている学生さんなどがいましたら
くれぐれも巻末の「作品年表」が
雪岱のすべてではない、とお考えください。
「雪岱の美の世界に少し触れてみたい」
という方にはおすすめの1冊です。