花菱英一の両親は、結婚20周年を機に念願のマイホームを購入する。その家は、もと
写眞館だった築33年の怖ろしく古い家だった。「小暮写眞館」の看板をそのままに
していたため、ある日心霊写真が持ち込まれる。英一は、その謎解きに乗り出すが・・・。
4編を収録。
心霊写真・・・。英一により、その写真に隠されたさまざまな人たちの思いが明らかになって
いく。人それぞれ、いろいろな生き方がある。山あり谷あり。そんな人生が写真の中に凝縮
されていて、読んでいて胸に迫るものがあった。そのほかにも、小暮写眞館の幽霊騒動の中で
見えてきた英一の弟、ピカの苦しみにはホロリときた。「何気ないしぐさや言葉の中に、これほどの
苦悩が秘められていたのか!」そう思うと、本当に切なかった。生と死についても、考えさせられた。
どの登場人物も性格や心情が細やかに描かれていて、作品を幅も深みもある魅力あるものに
している。700ページありとても長い作品だが、その長さには無駄がない。読後も、春風に
吹かれているような心地よさが残った。心がほのぼのとする作品だった。