本作は、スパイダーマン新シリーズのヒロインに抜擢されたエマ・ストーンが主演する、ティーンエイジャー向けのコメディ映画で、去年アメリカでヒットを飛ばした映画。原題は『easy A』。
いつもお世話になっている、レビュアーのhide-bon氏から、本作の日本版発売を教えて頂きました。日本でソフト化される時は、きっと邦題はイマイチなんだろうな・・・と思っていたらヤッパリ(苦笑)。一部の映画ファンにはすでに知られている作品なので、『easy A』のままが最良だと思うのですが・・・ しかしとりあえずは「めでたい!」と叫ばせて頂きましょう。
高校イチの地味で目立たないヒロインが、ちょっとヒッピー系入ってる友人のキャンプの誘いを断るために「彼氏とデート」とついた嘘に尾ひれがついて、「ヤッちゃった」→「誰とでもヤル女」・・・と、どんどんエスカレート。同性愛の男の子のためにカモフラージュ用の「ニセ彼女役」を演じてあげたり、さえない「モテ待ち」男くんたちの「嘘っこ筆おろし役」まで買ってしまう親切ぶりもたたって、ホントはバージンなのに「学園イチの有名尻軽女」に祭り上げられていく、悩める?少女の物語。
実は、ホーソーンの『緋文字』をティーン・コメディーに大胆アレンジ。『easy A』のAとは「Adulteress=姦婦」のことで、不義を働いた見せしめにイニシャルAを縫い付けた服を着させられたのをもじっています。「気ままにビッチ」とか「気づいたらヤリマン」とでも訳すのでしょうか。ほとんど娼婦まがいのバーレスキーな衣装の胸元に真っ赤な「A」を縫い付けて、颯爽と学園内を歩くエマ嬢。けっこう、ビッチなふりしてる自分をエンジョイしているご様子。っていうか、そんな格好許す高校がアメリカにあるんかい!
他愛ないティーン・ムービーと言ってしまえばそれまでですが、演出センス良し、脚本面白し、この手の映画でおざなりになりがちな撮影も、光と影をきれいに描いて良し。何よりテンポが目茶目茶いい。90分間が飛ぶように過ぎてしまいます。どんな逆境でもポジティブシンキングで前向きなヒロインの姿が、元気にさせてくれる、はつらつとした青春映画です。
’80年代の数々の青春映画のパロディーにもなっているらしいのですが、その手のジャンルには筆者は残念ながら疎いので、ご存知の方々はニヤリとしながら楽しんで下さい。ちゃんとネタばらしも劇中でやってます。そして、何と校長役がマルコム・マウダウェル!意味不明なこの豪華脇役にもウケてしまった。噂になるだけあって楽しい映画です。
本作は、上記のホーソーンに限らず文学からの引用が多く、意外なところでこだわって作られた映画でもあるようです。この映画の画像で、エマ嬢がよく、プラカードの如く紙に書いたメッセージを持っているのを見ている方が多いと思いますが(なぜそうしたメッセージを持っているのかは、映画を観てのお楽しみ)、その中に「Not with a FIZZLE, but with a BANG」というのがあります。「FIZZLE」は「くすぶる」、「BANG」はまさに火薬の爆発「バン!」で、これは女の子っぽく訳すと「くよくよしないで、行動あるのみ!」という意味ですが、クライマックスで決めゼリフのように使われるので「盛大に幕引くわよ!」みたいなニュアンスなのだと思います。実はこれは、T.S.エリオットの有名な詩「The Hollow Men」の一節「Not with a bang but a whimper」のパロディーで、「With a BANG」というのは英語圏で何かと引用されるフレーズだそうです。さて日本語字幕ではどんな風に訳されているか、楽しみです。
本作、セリフの応酬が早口マシンガントークなので、やはり日本語字幕つきで観るのがベスト。
という事で、待ちに待った皆さま、もう少しの辛抱であります!