超人的な多作ゆえに全貌が未だ全集として解明されていない作家だけに、余り見切ったようなことを言うのは憚られるが、少なくとも本書に選ばれた作品の共通点としては、ハッピー・エンドどころか基本的には悲劇やカタストロフで終わる話ばかりなことが挙げられる。
これは、作家自身の以下のような趣向の表れと言えるだろう。
「夜と、死と、暗黒と、青白い月とを友として、そんな恐れ(=引用注、死への恐怖)を喜びにしたロマンチックの芸術を書きたいと思う。」(「夜の喜び」より、362頁)
どんでん返しやキャラ設定等に凝った作品が溢れた現代のホラー/サスペンス小説と較べると素朴な作品が多い点は否めないが、児童文学者らしい寓話感の溢れた奇譚集に纏まっているとは言える。ただ、作者のいう「ロマンチック」の部分が同時代の室生犀星等に較べると少し落ちる感があるので、星は三つに留めた。また、狂人や病人、貧しい人々等が主要キャラになっている点も各話の共通点として挙げられるが、この辺は逆に現代作品よりも残酷な味わいが深いようにも思う。