■概要
小生の記事を読まれるまでもなく、評者含め番組のファンは本書を購入されるだろうから、本稿では別の角度から評価したい。
単なる番組への投稿を集めた本だと思うと面食らう。豊富すぎるほどのスタジオ写真を始め、ラジオ専門のフリー編集者・ライター豊田拓臣氏が番組制作の裏側をあますとこなく取材してあるので、見かけのボリューム以上に相当に読み応えがあり、とても斜め読みで済ませられる代物ではない。番組にかける制作者の思いを感じることができる。
■番組について
ブランド深夜番組『オールナイトニッポン』DJ経験者を“パートナー”に迎え、
メールという即時性の極めて高いメディアを用いた、双方向性型・台本なしの番組構成、
番組twitterや放送後更新の番組公式ブログというサブスペース、
そして何よりも、リスナー参加型討論番組のMCでギャラクシー賞最年少受賞という硬派なバックグラウンドを持ちながらも
ラジオの魂を備え、良くも悪くも(?)歯に衣着せぬトークでもはや
カリスマに加えられるべき逸材・小島慶子(以下、OJK)、
「キラ☆キラ」はこれらのコラボレーションが生み出した、ラジオ界のイノベーション(innovation)と言って些かも過言ではない。
評判の高かった前番組からのリスナー離れを覆し、大物タレントがパーソナリティである裏番組の聴取率を半年で抜き去った事実、番組本を作ってみたら「ありえないほどのボリュームに仕上がってしまった」(「はしがき」より)顛末が、当番組のコンテンツ力を示していると思う。
■コンテンツ
はじめに
小島慶子、『キラ☆キラ』を語る
『キラ☆キラ』読むトーク:小島慶子×各曜日パートナー
各曜日パートナーへのインタビュー:ビビる大木・神足裕司・宇多丸・ピエール瀧・水道橋博士
『キラ☆キラ』生放送五日間密着レポート!
「キラ☆キラ」スタッフに聞く!
1 初代プロデューサー 村沢青子
2 二代目プロデューサー 三条毅史
3 初代チーフ・ディレクター/三代目プロデューサー 石垣富士男
4 二代目チーフ・ディレクター 長谷川裕
TALK RADIO SESSION:小島慶子×ピストン西沢
『キラ☆キラ』オンエアリスト
「震災とラジオ」〜あとがきにかえて 小島慶子
※収録順は、「どこからページをめくってもらってもかまわない」ようにミックスされている。
■感想
OJKと並んでentreprenur(イノベーションの担い手)と言える、初代プロデューサー村沢女史のインタビューも載っていることと、OJKがオールナイトニッポンに乱入したピストン西沢氏との特別対談もあることが、個人的には嬉しい。
また、普段からOJKも述べていることだが、いい加減、Radiko(ネットによるラジオ番組のライブ配信)の地域制限を撤廃してはどうだろうか。勿論、スポンサーの問題や、放送法の地域免許制の壁があることは評者も承知している。一説には「コンテンツ制作能力の低い地方局への配慮」もあるらしいが、民放ラジオ局はもはやインフラストラクチャーではない。コンテンツ力のない局はどんどん潰れればいいというのは暴論だろうか。本書がそのきっかけになることを期待してやまない。