現在日本には英和大辞典が3つある。初版以来80年近くの歴史を誇る「研究社」,初めて大辞典の分野に踏み出した大修館の「ジーニアス」,そしてこの「ランダムハウス」である。そのうちどれか一冊を選べ,となると,これを挙げざるを得ない。
「研究社」は英語・英文学者向けで,語源の調査や英語古典の読解には役立つが,最新の語彙や意味(特にスラング)の採録には慎重で,最新のくだけた書を読むのにはつぶしのきかないことが往々にしてあり,その点むしろ同社の「リーダーズ」のほうが歓迎される傾向にある。「ジーニアス」は語法解説にかけては他の追随を許さないし,新しい知見も取り入れられているのでいいのだが,収録語数や意味の収録範囲,さらには価格面を考えても「ランダムハウス」は一!押しである。
アメリカのランダムハウス社の辞典を親版としているだけあって,スラングに詳しい「リーダーズ」にも載っていない意味が多いのには驚かされる。1994年刊とはいえ,最新のPBで他の辞書に当たっても判然としない言葉が,これを引いて氷解したという体験は,少なくない実感であろう。
改訂が待ち望まれる気持ちは分かるのだが,アメリカの親版が改訂されない限りこの改訂は基本的にあり得ない。その代わり,この姉妹版である「プログレッシブ英和中辞典」が改訂ごとに最新の語彙と意味を収録し続けている。これを次期改訂までの「つなぎ」と考えておくべきであろう。