「大国主義」(帝国主義)の暴走による、日清・日露戦争からアジア太平洋戦争の敗戦に至る日本の近現代史の中に、本書は、もう一つの思想的な潮流である「小国主義」の源流を辿り、また戦後憲法から現在に至る日本のあり方に、示唆を与えている。
明治初年「米欧回覧実記」で、欧米の大国・小国をつぶさに見て回った岩倉具視ら、明治のリーダー達は、大国・小国のそれぞれのあり方を学んだ。使節団副使であった木戸孝允や大窪敏光が没した後の明治十四年の政変が、その後の日本の進路の分岐点となった。大国主義が政治や国論の主流となり、一方、小国主義は中江兆民や植木枝盛ら、民権主義者や社会主義者に細々と受け継がれていくが、自由民権運動への弾圧で押しつぶされる。日清戦争を端緒に、大国主義を突っ走り、結局はアジア・太平洋戦争に至る。
小国主義は、大正デモクラシーで、石橋湛山の小日本主義として一時的に復活するが、敗戦後に、憲法研究会草案として、マッカーサー草案を通して日本国憲法に結実する。このように、明治初期に発する小国主義の発見は、現在の日本の国家のあり方にまで影響を及ぼしている。本書は、2009年の政権交代後も定まらないあるべき国家像について、貴重なヒントを提供している。