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心優しく幼い主人公と、その祖父である、頑固で冷徹な伯爵の
心の交流が丹念に描かれた全編にやさしさと愛のあふれる作品です。
この作品の根底には「アメリカvsイギリス」という時代背景もあります。
この作品の当時はアメリカがイギリスから独立してだいぶ経ったとはいえ
いまだに、両者に敵対心があったようです。
主人公はアメリカ育ちで母親がアメリカ、父親がイギリス貴族。
一方の祖父は生粋のイギリス貴族で、この2人の心の交流は
アメリカとイギリスの心の交流とも言え、
そこから2人の価値観の違いに注目して、お読みになっても面白いでしょう。
現実的な祖父の頑固さ、冷徹さにと、セディの聡明さ純真さ優しさは
とても対照的で大切なものを思い出させられるような、感動の作品です。
もちろん関心のある点もあります。
アメリカの一市民がある日突然貴族になります。
“貴族”と“庶民”には大きな壁があるとすれば、
なかなか興味深い変身譚だと思います。
またセディは父親ジェイムズに感化されています。
ドリンコートとの対話の中で「お父さんがそう言ってましたよ」とあります。
これすなわち現在希薄な存在である“父”なるもののありかたを
現代の人間社会に語っているのではないでしょうか。
されど気になる点があります。
それは214頁の不正事件でセディたちが絶体絶命に陥ります。
しかし迫力がありませんでした。
もう少し“アクセル”を踏んでいただかねばと思います。
もう一つあります。
貴族すなわちセディとドリンコートは民心のために援助します。
援助することに批判はありません。
ただ伯爵という“大貴族”が資金援助する光景はおもしろくありません。
むしろ領主として当たり前ではないでしょうか。
彼らによる援助よりもアニーによる素晴らしい行いのほうが称賛に値しす。
この物語の主人公はセディですが、セディを立派に育てている両親のほうが魅力的です。
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