中国の寒村に生まれ、極貧ながらも家族のあたたかい絆の中で育った少年が
11歳でバレエの英才教育に選抜され、やがてアメリカへ留学→亡命→活躍ののち引退するまでを綴った自伝です。
家族(特に母)の深い愛情、家族のために…と寝る間も惜しんでバレエに研鑽する少年の姿が物語の軸ですが、
その周りを埋めるのは、毛沢東政権下で
倒れるほど働いても貧しさから抜け出せない中国農民たちの暮らし、
反革命分子とみなされ銃殺される人々、
アメリカを筆頭とする西側諸国を「地獄」であると民衆に教え込む政府、
1人のバレエダンサーの亡命さえをも国家間の駆け引きに用いる米中政府と、
西側世界と母国中国の間で揺れる主人公の姿です。
亡命当時、彼はまだ20歳の少年でしたが、生来のかしこさと機転の良さ、強い精神力で、ギリギリの場面を何度も切り抜けます。
ニュースを見てもいまひとつ理解出来なかった中国という国家のありよう、
民衆の「本当の心」が、なんとなく分かる本です。