Cuba については革命家に関する本が多いのに,そこに住んで下から見たルポがなかった.この本のカヴァーの可愛い子供の表情に惹かれて読んで驚いた.確かにここには社会主義社会が実現されているが,経済的困難が余りに圧倒的で,のんびりやるしかない.ところがこれが国民性にマッチして,人民は闇市労働にも精を出して適当にやる.そうこうしている間にマラリアとジフテリアを根絶し,更に安くて高度な医者養成システムを完成させて,アメリカ人でも教えますよ,と言う恐ろしい事態になった.こうなるとただでさえ恐ろしいラテンアメリカがまさに恐怖の的で,アメリカとしては打つ手がないだろう.全く痛快である.ただ,本の記述はリアルな部分とどうしようもなく未消化な部分が混在していて,必ずしも読みやすくない.特に政治経済の大局観が欠けているので,社会の枠組みが見え難いのが欠点である.しかし,市民達の圧倒的存在感の前には,小さい欠点かも知れない.推薦.