戦前のある中産階級家庭で
住み込みの“女中”として働いていたタキという老女の回想という形で
物語は進んでいく。
再婚の“奥様”とともに、
新しい家に仕えるようになるタキ。
赤い屋根の洋風の新築の家には
小さいけれど、タキだけの部屋もあり、
この家を“終の住処”にするつもりで奉公に励んでいる。
戦前から戦争に向かう頃の東京の生活が、
戦争が激しくなって
タキが郷里へ帰ることになるまで、
テンポよく軽やかに、
心地よい流れで語られていく。
終盤、
「小さいおうち」というタイトルの意味が明かされ、
また、
最後までタキの口からは語られることのなかったある事実を
読者は別の語り手によって知ることになる。
地味な題材にもかかわらず、
読後に強い印象を残す作品。