著者の「江戸城・大奥の秘密」がとても面白く、
時代的には続編に近いこちらも手に取りました。
巷に溢れる江戸雑学系や、江戸懐古・賛美一辺倒の書籍とは
一線を画します。
みねという少女の回顧録の紹介の形をとりながら、
非常に読みやすく、またかなりのリアリティを持って、
江戸末期から明治維新にかけての変化が表現されています。
福沢諭吉の足袋の穴を松葉でつついたり(笑)、
祖父の家である浜離宮でいとこと遊びまわったり(!)と、
微笑ましくも現代から見れば驚いてしまうようなエピソードを
交えながら、
「江戸時代が終わっていく」
という、リアルで変えがたい歴史の流れが感じられ、
これまで読んでいた江戸関連書籍にはない魅力があります。
日本史等では、「○○年から○○時代」と、
その日からがらっと時代が切り替わったように表現されますが、
実際にはゆっくりと、けれど決して後戻りはできない流れで
日常が徐々に変化していくわけで、
そのゆるやかな変化を読書として味わえる、稀有な体験です。
どれだけ持て囃されそうと、江戸が過去である、終わった失われた時代
なのだとこの本であらためて感じるとともに、
今と地続きであることもまた確信できる、名著だと思いました。
書生さんを振り袖でひっぱたくお転婆ぶりや、
父が御典医として城に上がるときの見事な衣装の描写なども
とても楽しめました。