本編のヴェネディックの人々の話も、昨今の軽い漫画に比べ実に濃い。
ストーリーが実によく練られていて、国同士の関係の難しさを本気で描こうとしているなぁ、と感動。
それに加えて、作者のカトウコトノさんはとにかく表情の描写が巧い。背景や服装も見るべきところが多いけれど、私はとにかく表情に引き込まれた。
丁寧な心理描写に合わせて、苦悩・驚き・悔しさとかが一々繊細に描き込んである。
ヴェネディックの元首については、初めこそ「なんだこいつは!」と思わされたものの、最後の最後で好感度が急上昇した。元首としての判断には、彼個人の気持ちは反映させられなかったんだろうなぁ……
レビューのタイトルにもした通り、一緒に収録されているデビュー作が凄く好みだった。
ロシア最後の皇帝の四女・アナスタシアと、皇室親衛隊見習いのドミトリィ・ザイツェフの話。
ロシア革命のあたりという珍しい舞台の話だけど、ストーリーはベタ。
意地っ張りで嫌われ者だったザイツェフが、無邪気なアナスタシアに孤独を癒されていくという。
でも良いんだよ。コトノさんの良さが溢れんばかりでもう涙が出てくる。
ザイツェフがとにかく可愛い。見せ場ではかっこいいし、これは惚れますよもう。
ザイツェフが気に入るかどうかは分かれると思うけれど、好きな人には堪らないんじゃないかと。
終わり方も余韻があってよかった。
長い話じゃないんだが、単行本一冊分ぐらいの値段は普通に出せる。或いはもっとでも。何回も読み返してしまう。