本作は、現在、作品全体がメディアに公開(再発)されておらず、封印状態となっている『キャンディキャンディ』、『ジャングル黒べえ』、『オバケのQ太郎』、『サンダーマスク』について取り上げられている。
作品中第何話が封印されているという作品を取り上げた前作と異なり、作品そのものが封印されているため、関係者の証言はよりいっそう曖昧で要領を得ないものになっており、結局のところ、状況はわかったが著作者や関係者の本心はつかめないといった結末が多く、残念ながら(ある意味当然ながら)謎が解けたとは言いがたい作品もある。
もっとも印象に残ったのが、『ジャングル黒べえ』の章。第一に、「黒人差別をなくす会」による種々マスコミへの抗議行動のあおりを受け、この作品がいわば出版側の自粛(萎縮)により現在絶版状態になってしまっているということ、第二に、その「黒人差別をなくす会」の実態が実は親子3人だけからなる“団体”でしかなかったこと、第三に、そのような“団体”(というよりただの一家族)の“正義感”からなる抗議行動により、多くの作品が封印または修正を余儀なくされたということに、言いようのない怒りを覚えた。
当時はおそらく世間の誰もが、差別撤廃意識に目覚めた時代であったのだろうと回顧できるのだが、我々は、当事者による抗議の声や正義の行動には真摯に耳を傾け目を向けなければならないが、それとまったく関係のない第三者の善意による行動に対しては、ある一定の警戒心を持って臨まなければならないことを、教訓としなければならない。